I've covered economics, markets and the Federal Reserve since 2001.

Photo by Tayfun Coskun/Anadolu Agency via Getty Images

ドナルド・トランプ米大統領は当初、イースター(2020年は4月12日)をめどに経済活動を再開させたいとの意向を示していた。だが、新型コロナウイルスのパンデミックが悪化の一途をたどり、なかでも米国が感染拡大の中心地となるに至って、大統領の的外れの希望は打ち砕かれることになった。その一方で、この件をきっかけに、公衆衛生と経済活動のバランスをどうとるべきかという議論が起きている。

人々の健康と経済的繁栄が両立できないという見方は、常識に反しているように思える。その感覚はもっともなものだ。なぜなら、この見方は合理的な見解とは言えず、事実に基づいてもいないからだ。

実際には、全く逆の見解こそが真実だ。すなわち、家族や個人が死や病気に対して過度の恐れを抱くことなく、安心して普段通りの日常生活に戻れる状況にならない限り、経済生活の繁栄もあり得ないということだ。ここで言う日常生活には、多くの場合、人々が働く場所も含まれる。

米連邦準備制度(FRS)に所属する2人のエコノミストが中心となり、「スペイン風邪」とも呼ばれる1918年のインフルエンザ・パンデミックに対するさまざまな政策対応を検証した結果が、このたび新たな論文にまとめられた。この研究は、人に対して物理的な距離をとり、経済活動の縮小もやむなしとする、現在の新型コロナウイルス感染症に対する政策への洞察を深める目的で行われたものだ。

検証の結果、経済成長を阻害するのは政策対応ではなく、パンデミックそのものであることが判明した。

今回の研究を行ったFRSのエコノミスト、セルジオ・コレア、ニューヨーク連邦準備銀行の研究者ステファン・ラック、そしてマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院所属のエミル・ヴァーナーの3人は、自らの研究成果を解説するブログ記事でこう書いている。「1918年のインフルエンザ・パンデミックで最も重大な影響を受けた地域では、実体経済活動に急激かつ持続的な下降が認められた」

これを踏まえ、研究チームは以下のように結論づけた。

「医薬的でない介入(物理的な距離をとる、大人数の集まりを禁止するといった施策)を、早期かつ広範に実施した都市では、中期的に見て、経済に与えるネガティブな影響は認められなかった。むしろ、より早い時期に、より積極的な介入を行った都市ほど、パンデミックの収束後に実体経済活動が相対的に高まることがわかった」

「我々の研究成果から、パンデミックは全体的に見て、相当規模の経済的損失をもたらす恐れがあることが導き出される。また、医薬的でない介入が、経済状況の改善と、死亡率の引き下げという両方の成果をもたらす可能性があることも導き出される」

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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