人間いつ死ぬかわからないから|乳がんという「転機」#16

北風祐子さん(写真=小田駿一)


底意地の悪い人間の心の闇、ねたみの根深さ。一方で、周りに流されずつきあってくれる少数派のブレないかっこよさ。全くめげていなかった私ですら、当時の嫌な奴らのことはフルネームで顔まで思い出せるのだから、世の中のイジメはもっと深刻な傷を負わせるに違いない……など、小学生にして多くを学ぶことのできた貴重な経験だった。幸いその後の人生ではそんなばかばかしいことには遭遇しなかったので、あそこで無視されたのはラッキーだったのかもしれない。

もっとも8年前の同窓会で、同じ団地だった子いわく、当時、彼女が私に対して「学校の勉強もあるのに、さらに塾の勉強もしているなんてたいへんね」と言ったら、私は「学校の勉強なんて勉強じゃないから」と切り返したそうで。まあ私も相当嫌な奴だったのだとは思うが。

ただ、彼らと訣別したくて中学受験をした身としては、どうしても会いたいのは担任の先生くらい。なので、先生には一人で別の日に会いにいこう。

かくして憂鬱な顔をした、精神的ひきこもりが誕生する。それもやむなし。気にせずわが道をゆくぞ。

術後1周年。今このときを重ねていくこと


2018年5月10日、去年の今日に手術を受けて、丸1年が経った。あっという間の1年。

家族、友人、同僚の皆さま、毎日ありがとうございます。

今、生きていられることに、ありがとうございます。

人生というのは、今このときを重ねていくことなのだと思います。

大切に重ねていきたいです。

ユキちゃんの息子の文化祭へ


がんで闘病の末亡くなった友人ユキちゃんの息子さんであるT君の文化祭に行ってきた。中1の時、LEGO部を創設して4年目。Tくんがいつも文化祭展示のためのLEGO集めに苦心していると、ユキちゃんが話していたのを思い出し、今回は、我が家の休眠していたLEGOもわずかながら使ってもらった。

乳がん LEGO

展示もさることながら、LEGOで作った映画が圧巻だった。人形や船を一コマずつ動かしては撮影し、つないで動画にしていく。パラパラマンガの立体版。細やかな作業の積み重ね。音響も本格的。色づかいもおしゃれだった。
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文=北風祐子、写真=小田駿一、サムネイルデザイン=高田尚弥

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乳がんという「転機」

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