米シカゴ刑務所がクラスター化、353人の囚人らが集団感染

Jose M. Osorio/Chicago Tribune/Tribune News Service via Getty Images

米国で最大規模の刑務所であるシカゴのクック郡刑務所で、少なくとも353人の囚人やスタッフらが新型コロナウイルスに感染した模様だ。ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、これは一箇所で確認された感染者数としては過去最大だという。

感染により既に1人が死亡し、クック郡刑務所は囚人の早期釈放に踏み切った。5000人以上に及ぶ囚人の大半は検査を受けていないが、NYTによると、クック郡刑務所で確認された感染者数は、米海軍の空母セオドア・ルーズベルト号やワシントン州の高齢者介護施設のクラスターで確認された感染者数を上回っている。

同刑務所に収監されていた数百名の非暴力犯らは、アウトブレイクを受けて釈放された。しかし、59歳の囚人が死亡したとのニュースを受け、4月7日には約100人の抗議活動家らが刑務所の前に集結し、全囚人の早期釈放を求めた。

米国では他の刑務所のクラスター化も報じられている。4月6日にはニューヨークのライカーズ島刑務所の53歳の囚人が死亡し、少なくとも273人の感染が確認された。さらに、ルイジアナ州やミズーリ州、イリノイ州の刑務所でも囚人が新型コロナウイルス感染症で死亡した。

行動が制限され、大人数が密集して過ごす刑務所は、感染が一気に広まりクラスター化しやすいため、一部の刑務所は囚人の早期釈放に踏み切り、密集度を下げようとしている。また、ウィスコンシン州やフロリダ州の刑務所は、新規の受刑者受け入れを停止している。

ロサンゼルス・タイムズは、米国で投獄された犯罪者の40%以上が非暴力犯であり、これらの囚人を釈放することにより政府は年間約200億ドル(約2.2兆円)のコストを削減できると指摘している。

編集=上田裕資

タグ:

連載

新型コロナウイルス特集

ForbesBrandVoice

人気記事