新型コロナウイルスの発生に対する十分な対策を模索する中で、世界中の科学者が標的を特定してワクチンを開発するために尽力しています。研究成果のひとつとして、HKUSTでは新型コロナウイルスとSARSウイルスの両方の遺伝子配列に存在するB細胞およびT細胞エピトープを特定し、それが人体の免疫反応を引き起こすことを発見しました。この研究成果は先ごろ、科学誌「Viruses」に発表され、新型コロナウイルスに有効なワクチンの開発を促進するのに役立っています。
このような、状況が急速に進展する中で、大学間の連携による知識の共有や共同研究を、継続して取り組むことが重要です。ウイルス発生当初から難題の解決に挑み続けてきた大学もある一方、多くの大学は、今このような状況になり相次いでこの挑戦に参画しはじめました。大学関連のフォーラムとして定評がある、世界経済フォーラムの世界大学長会議(GULF)をはじめ、東アジア研究型大学協会(AEARU)、環太平洋大学協会(APRU)、アジア大学連盟(AUA)などの世界各地の大学連盟のグローバルな連携が進めば、各大学が蓄積しているベストプラクティスを積極的に共有できるでしょう。
2月から海外の学生に向けてオンライン教育を提供
HKUSTはさまざまな国に学生がいますが、2月初旬から海外の学生に向けて没入型のインタラクティブなオンライン教育を提供しています。これで、フェローと体系的かつタイムリーに知識を共有したり意見を交換したりできるシステムが整備されたことになります。ツール、コンテンツ、インタラクティブに調査できる環境の充実、そして品質保証の確保は、大学としてさらに発展していく上で不可欠な要素としてHKUSTが取り組んでいることです。
新型コロナウイルスの拡大はとどまるところを知りません。それを抑制するという共通の目標に向けて、充実したネットワークと大学間での連携という文化を有効利用し、ノウハウ、情報、設備を活用することが大学には求められています。
「新たな知識を積極的に獲得する」「新たな解決策を考案するために革新的になる」「失敗や障害に負けず不屈の精神で挑む」という基本的な価値観に忠実に活動することで、この地球規模の危機に立ち向かうことができるでしょう。HKUSTにとっては、これまで提供していただいたすべての支援が貴重な財産となっています。HKUSTは今後も、各地のパートナーやフェローと緊密に協力しながら、新型コロナウイルスをはじめとするさまざまな問題に積極的に取り組んでいきます。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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