こう語るのは、アソビシステム代表取締役社長の中川悠介だ。同社にはきゃりーぱみゅぱみゅ、中⽥ヤスタカ、増⽥セバスチャンなど、世界で活躍するアーティスト・クリエイターをはじめ、⼥性ファッション誌などで活躍するモデルや俳優が多数所属している。
次世代のエンターテイメント業界はどうあるべきか──その問いに対する回答として、中川は「タレントをただ束ねておくのではなく、プラットフォームメディアになるべき。個の時代になったらこれまでの芸能プロダクションは不要という論調がありますが、タレントに+αの価値を創出していくために我々のような存在は必ず必要で、アソビシステムにはその価値がある、と僕は強く信じています」と話る。
その主張を形にすべく、アソビシステムが新たな取り組みを始める。4月9日、アソビシステムはnoteと業務提携したことを発表した。まずは今春から提供予定の機能「note media」を先⾏活⽤し、新メディア「ASOBISYSTEM by note」を立ち上げるほか、noteのプラットフォームを活⽤して、所属タレントの公式アカウントも開設する。今後も両社で、さまざまな取組みを行っていく予定だという。
今年の2月7日、きゃりーぱみゅぱみゅが「Makuake」を使った香りプロジェクトの立ち上げにあたって、noteでプロジェクトに懸ける思いを記したのは記憶に新しい。
noteは先日、サービス開始6周年を迎え、2020年3月に月間アクティブユーザーが4400万人を超え、720万件以上のコンテンツが集まっていることを発表したばかり。なぜ、アソビシステムは会社全体でnoteを活用することにしたのか。中川とnote代表取締役CEOの加藤貞顕に語ってもらった。
タレントはクリエイター、着せ替え人形ではない
中川:芸能プロダクションはタレントをただ束ねているだけのビジネスモデルから、いかに脱却できるかが大事になってきていると思います。
この業界はいま、個の時代だからプロダクションは必要ない、アメリカのようにエージェント方式を取り入れるべきなど、さまざまなことが言われますが、アソビシステムはプラットフォームメディアを目指しています。
もちろん、いろんなやり方があると思いますが、僕はアソビシステムはひとつのブランドだと思っています。そのブランドをひとりでも多くの人に知ってもらうために、情報の発信を強化していきたい。そう考えたときに、noteが思い浮かんだんです。それでCXOの深津貴之さんを介して、加藤さんを紹介してもらいました。
アソビシステムは企業の方に声をかけていただくことは多々あるのですが、自分たちから接点を持つ経験が少ないので、正直大丈夫かな……という不安も多少ありましたが(笑)。
加藤:中川さんにお会いして、今後の開発予定の機能も含めて、「noteはこんなことを考えている」と話をさせてもらったんです。すると、noteとアソビシステムさんが業態は異なるのですが、近しい部分もあった。
例えば、オープンかつクリエイティブ、デザインを重視する会社のカルチャーは同じなんです。コアの考え方は共通しているので、話も通じやすかったですね。noteも今までエンターテイメントを包括的に活用する事例はなかったので、面白いことができそうだな、と思いました。