ビジネス

2020.04.22 17:00

元ディレクターが教える「アマゾンのすごいWeb会議」6つの約束

『アマゾンのすごいルール』『アマゾンのすごい問題解決』などの著書でも知られる佐藤将之氏は、アマゾンジャパンの立ち上げメンバーとして2000年7月に入社。サプライチェーン、書籍仕入れ部門を経て2005年よりオペレーション部門で、2016年に同社を退職するまでディレクターとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与した。
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遠隔会議も増える昨今、アマゾン式「Web会議の常識」を伝授してもらった(その一部について、以下動画でも)。




2月末に始まったコロナ禍は収まる様子もなく拡大中だ。この記事を執筆している4月6日には、政府の緊急事態宣言が発令されようとしている。「見えざる敵」との戦いは、国をあげての総力戦の様相を呈してきた。
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皆さんは今、この記事をどこで読んでいるだろうか。多かれ少なかれ、影響を受け、非日常的な環境下にいることだろう。

色々な意味で今、日本は大きな変革の時を迎えていると感じる。従来の「安心安全が当たり前」という観念が崩れ、貧富や老若男女を選ばぬ災禍は、半ば強制的にわれわれの行動様式を変えている。それは9年前の東日本大震災に匹敵するか、もしくはそれ以上の強制力でさえある。

ビジネスの世界も同様だ。オフィスに集まって肩を並べて行う様式から、テレワークが急速に進んでいる。「働き方改革」が実現の後押しをするかと思われていた「働き方の多様性」が実装されているといえる。

その中で大きく変化しつつあるのが「会議のあり方」だ。今まで使ったこともなかったオンライン会議ツールを使い、多少のバツの悪さと気恥ずかしさを感じながら、PCやスマホの画面に映る同僚や取引先の顔を見たという読者諸氏は少なくないのではないか。

なんとなく感じるその違和感、今までのFace-to-face会議では感じないバツの悪さは、「オンライン会議の進め方」の約束事を知らないためではないかと思う。

私が長年勤めたアマゾンでは、入社当時の2000年から電話会議が当たり前のように利用され、2010年頃からはテレビ電話も頻繁に利用されてきた。円滑に電話会議やネット会議を進めるにはそれなりの「約束事」がある。ここでは、アマゾンがどのように会議を行っているのか、そのお約束を披露したいと思う。

1. ファシリテーター役を決める


通常の会議と違って多方向のコミュニケーションが難しい電話会議では、交通整理役、すなわち「ファシリテーター」が必要となる。会議の主催者であるホストがその任を担うのが定石だが、場合によっては「ファシリテーターを別に立てて」会議を円滑に進めるというやり方でもいい。

電話会議では発言のタイミングが難しい。発言が被るとお互いが遠慮し会議が途切れ途切れになったりすることがよくある。その場合ファシリテーターが、誰が発言すべきかを交通整理しながら会議を円滑に進めると効率がいい。

2. アジェンダ(議題)を明確にする


お題が決まっていない会議をオンラインや電話を使って行うのは、非効率極まりない。隣の席のメンバーと簡単な会話をするわけではなく、時間をかけて集まるのだから、アジェンダがしっかりしていないと会議を開催する意味すらない。

まずは「貴重なリソースを使って集まる」意義をしっかり考えたうえで会議を開催する必要がある。また「何を決めて終えるのか」というゴールも設定してから行うことが望ましい。

3. 時間はしっかり確認


日本国内で会議を行う場合は時差などを気にする必要はないが、アマゾンでは多国間で会議を行う事もよくあったため、相手がどの時間帯にいるかを確認する必要がある。そうしないと真夜中や早朝にミーティングを招集してしまいかねない。日本国内の場合も、始業時間や業務時間に注意して会議時間を設定する。

4. ファシリテーター以外はミュートで


実は、これが非常に重要である。オンラインで複数人が同時に話すと発言内容が確認できないのはもちろんのこと、他者の声が聞こえると会話を止めてしまったり、逆に自分が話していると他者が話していることに気づかなかったりなどの問題が起きる。

これを避けるためには、ファシリテーターの交通整理の下、発言する人を限定し、発言が終わったら他者に発言権を譲らせるなどの対応が必要になる。

ただファシリテーターも、誰が発言したいのかを完全に把握しているわけではないので、「意見があります」や「発言したいです」などのプラカードを作り、それを画面上に表示することで、ファシリテーターに意図を伝えて発言するなどがよい。用意しておくといい言葉は「OK」「NG」「賛成」「反対」「発言があります」「聞こえません」など。工夫をしながら作るとよい。

5. 5分前に入室する


必ず5分前には入るようにしよう。これは、会議に使用する機器の接続を確認するためだ。

映像を使った会議や電話会議をオフィスでする場合は、機器関連はIT部門の担当者がサポート、メンテナンスしてくれているので問題ないが、自宅からのテレワークでは、使用するのは自分のPCやヘッドホンであることが多い。これが動作しないと貴重な時間が台無しになってしまう。よって会議5分前には入室し、機器が動作しているか確認しよう。

ちなみに、ホストは5分前に会議をオープンすべきであることは、いうまでもない。

6. 内職をしない


電話会議など画像がない会議では、内職をしながら会議に参加する光景が見受けられるが、これは極力避けるべきである。

通常の会議同様、業務時間の一部である貴重な時間を会議に費やしているのだから、参加者全員が議題にコミットし、時間内に結論を導くという気持ちでぜひ望んでほしい。

いかがだろう。すでにやっていることもあると思うが、通常の会議、オンライン会議の区別なく、効率の良い会議を実行するためにぜひ、参考にしていただければと思う。

文=佐藤将之 編集=石井節子

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