どのように整理してご説明すればよりわかりやすく伝わるのか考えていたところ、予防医学者・石川善樹さんによる4月17日発売予定の新著『フルライフ 今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略』(NewsPicksパブリッシング)からちょうどいいヒントを得たので、こちらを参考に解説してみようと思います。
まず石川さんは同書のなかで、人間の日常モードについて、以下の2つの軸をかけ合わせて捉えることができると説明しています。
・「ひとり」でいるか「みんな」でいるかの軸
・行動に目的がある場合(する:Do)と、目的がない場合(いる:Be)の軸
リモートワークの落とし穴
これをリモートワークに置き換えてみましょう。例えば、「みんなで・Doする」ことといえば、オンライン会議などによる意思決定の場にあたります。「一人で・Doする」ことはタスクの実行などがあてはまるでしょう。
そして、多くの場合、リモートワークとは、オンラインによってみんなで会議を行い、それ以外はもくもくと一人でタスクをこなしていくことだと思いこむ傾向があるようなのですが、実際はそれだけでは不十分なのです。というのも、リモートワークを「みんなでDo」と「一人でDo」のみで捉えてしまうと、1カ月も経つころには、次第にぎくしゃくしてきてしまうことがあるのです。
実は、リモートワークにおいて大事なのは、「みんなでBe」と「一人のBe」だったりします。
会社にいるときは、上司や同僚たちと何気ない会話を交わす機会が多いはずです。ランチタイムやコーヒーブレイク、取引先へ向かう電車のなかでの日常会話は、お互いの信頼を深めたり、ふとしたアイデア出しをしたりすることにつながっているのではないでしょうか。
いざリモートワークになり、はじめのうちは職場でのコミュニケーションの信頼貯金があるのでうまくいくのですが、時間が立ってくるとそれが減っていき、だんだんと意思疎通がうまくとれなくなることがあります。
また、何気ない会話での生まれるアイデアも貴重です。僕が以前勤めていたグーグルでは、ランチタイムなどの何気ない会話からアイデアが生まれる可能性を非常に重要視し、これを「カジュアルコリジョン」と呼び、社食を無料にするなどしています。それくらい、“会社での何気ない会話”には価値がある。しかしリモートワークでは、その「みんなでBe」が抜け落ちがちです。
単に仲良くなるためなら「リモート飲み会」や「リモートランチ」を開くのもおすすめですし、軽いブレストなら、チーム外の人を混ぜた「ランダムランチ」を行ってみるのもおすすめです。
また、オンラインでつながる気軽さを活かして、自分が参加していない他プロジェクトの会議にあえて参加してみるのも面白いと思います。チーム外のメンバーと知り合う機会を作ったり、ふとしたアイデアを渡してあげたりすることもできるでしょう。このようにリモートワークの場合は、普段会社で何気なく行っていた「みんなでBe」を、より具体的に設計する必要がでてくるのです。