自宅でもペアリングを。料理とワインの美味しい方程式


トンカツとシャルドネのペアリング


自宅で作ったりお惣菜で買ったりと、日本の家庭によく登場するトンカツの場合はどうか。小枝さんはこう説明する。

「もし、とんかつソースかタルタルソースを選べるのであれば、ぜひタルタルソースを選んで下さい。タルタルソースは中程度からフルボディのシャルドネとの相性がぴったり。ブリッジ食材としてレモンも加えると、ワインの酸味やシトラス感が生き返り、さらにペアリングが楽しくなります。もし軽めのシャルドネを選ぶなら、塩レモンと青菜を刻み、トンカツに乗せても。」

あわせるワインとして、ナパの老舗ワイナリー「Stag’s Leap Wine Cellars(スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ)」の「Karia」を紹介したい。この100%シャルドネの白ワインは、白桃や洋ナシの果実味があり、クリーミーな口当たりで、余韻にレモン皮のような爽快感もある。フランス産の新樽で9カ月熟成させているが、樽の比率は30%程度と抑えられている。中程度からフルボディのワインで、とんかつとタルタルソースとの相性が良い。

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トンカツにはタルタルソースとシャルドネの白ワインを合わせてみては(撮影:小枝絵麻)

メルローの赤ワインと合わせるなら


次に紹介するペアリングは、ハンバーグのきのこソース(きのこをトマト、ウスターソース、赤ワイン、バルサミコ酢で煮込んだソース)とメルローの赤ワイン。ハンバーグを作るときにオレガノのスパイスを加えると、さらに相性がよくなる。黒ブドウのメルローは、優しいタンニンが特徴で、特にナパで太陽をよく浴びて育てられたものは、熟した果実が口の中に広がり、ワイン初心者にもお勧めだ。

「ハンバーグは、かたまり肉のステーキに比べて食感が柔らかいので、その点でもメルローと相性がよいのです。もし、しっかりしたタンニンのカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインと組み合わせたいなら、市販の挽き肉ではなく、ブロック肉を買って、自分で粗めの挽き肉を作るのがお勧めです」と小枝さん。

そのメルローとあわせる料理のブリッジ食材として使いたいのが、ダークチョコレート。これは、ナパのメルローによく感じられるフレーバーなのだが、例えば、ハヤシライスを作るときに、隠し味で、少しダークチョコレートを加えてみると、メルローとの相性が抜群になる。

ナパのメルローの代表選手として、「Duckhorn Vineyards(ダックホーン)」を紹介したい。なめらかな口当たりに、アメリカンチェリーやプラムの熟した果実、シナモンやナツメグのスパイスなど複雑なフレーバーが感じられる上質なワインだ。デイリーに楽しめるワインとしては、姉妹ワイナリー「Decoy(デコイ)」がソノマで造るメルローやジンファンデルもお勧めだ。

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今年40周年を迎えたダックホーンはナパのメルローの代表的な生産者で人気も高い。
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文=島悠里

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