Work Hub経由で、米国のウーバーのドライバーは3つのプラットフォームの求人に応募できる。フードデリバリーのUber Eatsや、オンデマンド貨物輸送のUber Freight、短期間の派遣労働のUber Worksなどだ。
さらに、ウーバーが提携した外部企業の求人も掲載されており、マクドナルドやペプシコ、セブンイレブン、スーパーマーケットのAlbertsons、レンタカーのハーツなどの仕事に応募できる。
ドライバーたちを小売業やレストラン、食品製造などの職種とつなげることで、ウーバーはライドシェアの枠組みを超え、ギグワーカーのための総合プラットフォーム的ポジションに歩み出せる。この取り組みには、雇用の流動性を促進し、全ての労働をフレキシブルなものに変える効果も期待できるだろう。
しかし、この流れは正規雇用を減らしたい企業側にメリットを与え、働く人々を不利な状況に追いやることにつながりかねない。Work Hubを通じて、ウーバーはドライバーたちを別の仕事に振り分けようとしている。運転手の仕事は減少しているが、ギグワーカーらが仕事を求めている状況は変わらない。
感染拡大を受けてウーバーの株価は大きく下落したが、プラットフォームとしてのウーバーの優位性は揺らいでいない。
ウーバーは今、これまでのライドシェアのプラットフォームから、あらゆる労働をシェアするプラットフォームに変化しようとしている。同社は昨年、シカゴで労働者のマッチングサービスのUber Worksを立ち上げていたが、今回のWork Hubはその進化系とも考えられる。
新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の働き方にパラダイムシフトをもたらしつつある。Uber Worksが、働く人々のメリットとなるのか、雇用不安を加速させるのかは現時点では定かではない。しかし、ギグ・エコノミーが今、さらに規模が大きいリアルなエコノミーを飲み込もうとしていることは確かだ。