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新型コロナウイルス患者のベッドを準備するドイツ空軍関係者(2020年4月4日撮影、Getty Images)

ドイツ空軍のエアバスA310型は3月29日、イタリア人の新型コロナウイルス重症患者6人を治療のためドイツに輸送すべく、イタリアのベルガモ空港を飛び立った。そのうち4人はハンブルクやヴェスターシュテーデの軍病院内集中治療施設に輸送され、他の2人はコブレンツの軍病院に送られた。

ドイツ空軍は同日、重症患者2人を引き取るため、フランス東部のストラスブールにもエアバスA400M型を送っていた。2人の患者はその後、コブレンツの軍病院に入院した。

新型コロナウイルスとの闘いにおいて、隣国に支援を差し伸べるドイツの取り組みは、欧州での債務の相互化を巡る大きな論争の中でほとんど注目されていない。しかし、他の欧州諸国の空軍から派遣された輸送機が人気のない空港に降り立つ光景は、ひそかに行われている支援の取り組みをうかがわせるものだ。

債務の相互化は、欧州経済をパンデミック(世界大流行)から回復させるための「コロナ債」と、共通の「マーシャルプラン(米国による第2次世界大戦後の欧州復興計画)」のような枠組みを指す。フランス、イタリア、スペインは共同債券の発行を求めているが、ドイツとオランダはそれに強く反対している。

ドイツは他の欧州各国と共同債権を発行すれば、予算の釣り合いや構造改革の導入に関する問題など悪影響が生まれるとし、これまで反対してきた。ドイツの消極的な姿勢が、新型コロナウイルスで特に大きな被害を受けているスペインとイタリアの欧州2カ国から一斉非難を浴びたのも驚くことではない。

経済面の複雑さや影響も重要だが、それにより、強調されるべき重要な人間的ストーリーの影がこれまで薄くなっていた。それは、ドイツの病院が他の欧州諸国の医療関係者にかかるプレッシャーを緩和するため、取り組みを進めていることだ。

科学者らは、ドイツがなぜ他の欧州各国ほどパンデミックの影響を受けていないのかに当惑させられてきた。その理由は、感染者に若者が多いこと、初期に検査を行う措置を講じたこと、病院の収容能力が高いことなどの要素が全て関係していると信じられている。

そのため独政府は国内の収容施設を他の複数の国と共有することに決め、独紙メルクーアによると4月2日までに合計113人の重症患者が外国からドイツに輸送されてきた。そのうち、85人はフランスから、26人はイタリアから、2人はオランダからの患者だ。また、スペインにも支援を申し出たと報じられているが、その時点では輸送された患者はいなかった。

翻訳・編集=出田静

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