緊急事態宣言でどう変わる? 海外のロックダウン生活からヒントを探る

安倍首相は4月7日、緊急事態を宣言した。 (GettyImages)

4月7日夕方、安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大防止ための改正特措法に基づき、緊急事態宣言を発令した。東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象区域に指定し、期間は5月6日までの約1カ月間となる。

米国や欧州では既に2週間以上「ロックダウン(都市封鎖)」が行われており、世界中で先行きの見えない不安が広がっているが、緊急事態宣言の発令後、私たちの生活はどのように変化するのだろうか。

「緊急事態宣言」後も外出禁止への強制力はなし


フランス、イタリア、イギリスでは、法律の下で厳しい外出禁止の措置がとられ、違反者には罰金や罰則が科されるという報道を目にした人も多いのではないだろうか。このような欧州で実施されている「ロックダウン」とは異なり、日本の緊急事態宣言に不要不急の外出を禁止する強制力はない。

緊急事態宣言は、改正特措法が今年3月に成立した「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に規定されており、これに定められた外出自粛の「要請」以上の強制力は持つことができない。すでに東京都は3月28日と29日にも外出自粛を要請しているが、緊急事態宣言後の「要請」も、強制力を持たないという点からみればこれと変わらない。

緊急事態宣言の大きなポイントは、「特措法」の第32条に規定されているように、発令に次の2つの条件を満たす必要があるという点だ。

1. 国民の生命・健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある
2. 全国的かつ急速なまん延で国民の生活・経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある

3月末の東京都の自粛要請は、あくまで都独自の運用で行われたに過ぎず、法律に基づくものではなかった。これに対して緊急事態宣言による要請は、国が新型コロナウイルスの生活への甚大な影響を認めた上で、法律に基づいた要請となる。したがって同じ「要請」といえども、国民の意識に与える切迫性という観点では、今までよりも大きくなると言わざるを得ないだろう。
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文=渡邊雄介

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