ライフスタイル

2020.04.10 20:00

25歳、豪華客船の甲板で決意したこと

オプトホールディング代表取締役社長 グループCEO 鉢嶺 登

デジタルシフトのリーディングカンパニー「オプトホールディング」を率いる鉢嶺登社長。25歳で経験したエジプト旅行や、学生時代からの趣味である麻雀や読書について話を聞いた。


弊社オプトホールディングは「デジタルシフトカンパニー」として、「次代の繁栄」のために新しい価値を創造し続けることをミッションとしています。

「デジタルシフト」が、すべての日本企業にとって、その規模の大小や、業種、所在地に関わらず、最大の経営課題である今、今後の日本企業が持続可能な成長軌道に乗っていくために、マーケティング支援をはじめ、事業戦略立案、事業創造、人材育成・活用、商品・サービス開発に至るまで、幅広くサポートしています。

創業のきっかけはエジプト旅行です。1993年、25歳でした。豪華客船に寝泊まりしながら遺跡を見て回ったのですが、ある日、ナイル川の岸辺に停泊中、何人かのエジプト人が手づくりのTシャツやテーブルクロスを甲板に向かって投げてきたんです。気に入ればビニール袋にお札を入れて投げ返す。そんなやり取りを楽しんでいたところ、彼らがお札を太陽にかざし片膝をついて祈り始めた。

その姿を見て「まだ何の成功もしていないサラリーマン3年目の人間がなぜ豪華客船に乗ってエジプト旅行ができるのか」とハッとして……。ほんの数十年前までは僕ら日本人も岸辺側の人間であって、いま客船側にいられるのは、祖父母世代や親世代が戦後復興を死ぬ気で頑張ってくれたおかげなんだ。

そんな先人のように我々もチャレンジし苦労して自ら道を切り拓くべきだと思ったんです。それで翌年、起業しました。次世代のために、私たちが、今、産業創造をしていかなければな らないというのは、創業来変わらぬ想いとして私の軸となっています。

一人時間の過ごし方で生活の一部のようになっているのは、読書と麻雀です。中学時代から戦国武将の伝記を読むのが好きでした。徳川家康、長宗我部元親、毛利元就といろいろ読みましたが、いちばん好きなのは山岡荘八さんの書かれた『織田信長』です。自分も生まれたからには日本に名を残すくらいのことをしたい。だったら経営者か政治家か先生になろうと考え、そのとおり経営者になったわけです。

創業時には稲盛和夫さんの本から「儲けることの尊さ」というか、利益を上げてこそよいサービスを提供し続けられるという事業の本質を教わりました。仕事上で迷ったときなどは、孫正義さん、永守重信さんなど大先輩の本を。大成功を収めた人がさらに上を目指していることに背中を押されますね。

時代や空間を行き来でき、人の体験から叡智を学び、人生を後押ししてくれる読書は“宝”だと思います。

麻雀はというと、高校時代にカード形式の寿司麻雀が流行って、そのうち本物にのめり込みました。大学入学後も、麻雀、ビリヤード、バイトに精を出していた。早稲田大学の周辺には雀荘がたくさんあって、僕はグランド坂の路地を入った「澤田屋」が行きつけでした。昭和24年開業で、映画『麻雀放浪記』の舞台にもなった店です。麻雀は何度やっても飽きないですね。やればやるほど理論や技術が得られる一方で、4人で打つから誰かしらに必ず流れが行くゲーム。その流れを見極めながらどう勝つかを考えるのが面白いんです。
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構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

この記事は 「Forbes JAPAN 3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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