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ポスト・コロナ時代の逆都市化


何世紀にもわたって、都市化は世界中でかなり一貫したトレンドとして進んできました。距離によって発生するコストを減らそうとした結果、人口密度は上がりました。同じ場所で生活し、働き、買い物をし、遊ぶことは、実用的かつ経済的だからです。

しかし、ここ数十年においては、テクノロジーの進化によって距離のコストは減少傾向にあります。リモートで働き、ネットで商品を注文し、ネットで医師の診察を受け、ネットでエンターテイメントを楽しむことができるなら、大都市に住むメリットは減ります。

どこに住むかを決めるときの基準として、もっともよくあげられるのが職場との距離です。ほとんどの仕事がリモートでできるなら、職場との距離はそこまで気になりません。しかし、毎日通勤しなければならない場合、職場の近さはかなり重要です。では、もし週に一回しか職場に行かなくて良いとしたら? それでもあなたは同じ場所に住み続けるでしょうか。

もしかしたら、今より遠くて、安くて、自然が多い場所に住むことを選ぶかもしれません。ほとんどのコミュニケーションはチャットやメールで済ませられますし、大事なディスカッションはビデオ会議で行えます。これまでのように「これをオンラインで行う必要はありますか?」とたずねるかわりに、「これを実際に会って行う必要はありますか?」とたずねるようになるかもしれません。

もちろん、インターネットを活用したこれらのソリューションは、何年も前から存在しています。それでも、大都市は変わらず魅力的に感じられ、ほとんどの人たちはストレスフルな通勤を続けています。なぜなら、社会システムに対する「ショック」でも起きない限り、古くからの習慣や社会的構造はゆっくりとしか変化しないからです。

新型コロナウイルスがまさにそのショックです。コロナウイルスの強制力によって、日々の生活をなんとか続けていくために、何十億もの人たちがテクノロジーを使うことを余儀なくされています。こうしたテクノロジーを使うことは、もはやオプションではなく必須です。

数週間前の記事で書きましたが、新型コロナウイルスはリモートワークを主流にするきっかけになるかもしれません。もしそうなった場合、人々の住む場所の決め方にも大きく影響し、今後10年に及ぶ逆都市化トレンドの引き金になるかもしれません。

逆都市化によって、現在使われているインターネット・サービスの多くが活性化するでしょう。それだけではなく、新たな分野でのテクノロジーの開発や法整備も加速するでしょう。遠隔医療に対する法的ハードルが下げられるかもしれませんし、バーチャル・リアリティもやっと誇大広告から実用化へと進むかもしれません。

新型コロナウイルスは、これまでの習慣や社会常識を根本から見直すことを私たちに迫っています。これはただのショックではなく、まるで壮大な規模の実験です。この困難な時期を乗り越えれば、私たちは新しい考え方や生き方を実現できるかもしれません。そして、逆都市化はその結果の1つかもしれません。

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