親子みな在宅も貴重な機会 「映えない父親」になってみよう

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だからこそ父親の育休なのですが、日本では男性の育休取得率がわずか6%。職場への迷惑や給与・手当てが減ることなどへの心配が、取得のネックになっていると言われています。

これについては、自民党の「育休のあり方検討プロジェクトチーム」が、出産から4週間までを「パパ産後休業期間」として、父親の育休取得を促す新しい制度の創設を提言。現状、休業前賃金や手当ての給付率が8割程度であるのを、「実質10割を確保できる方策」を検討するよう主張しています。

育児においては男は役に立たないという意見もあるようですが、今回の新型コロナによる在宅がトレーニングの機会となり、家庭・育児に慣れた男性が増えれば、こうした制度もより活きるのではと期待します。

イクメンでなく「映えないパパ」に


日本では、子育てに積極的な男性を指して「イクメン」と言いますが、この言葉には、いわゆるかっこいい男性を指す「イケメン」の要素が多分に含まれているようです。

日本におけるイクメンポイントは、子供と遊ぶ、風呂に入れる、家族のために我慢する、妻の育児の不安や愚痴を聞くなど、「子育ては基本母親が担い、その一部サポートをする」という認識に留まっているのが実情。それゆえ、「イクメン白書2019」(積水ハウス)の調査では、自分はイクメンだと思う男性は47.1%、夫はイクメンだと思う女性は50.9%という結果でありながら、育休を取った父親は1割にも満たないということになるのでしょう。

現実は異なります。筆者は、父親になってからの19カ月、実際に育児にコミットしてきました。赤ちゃんは、深夜もお構いなしです。おもらししたベビー服を手洗いしたり、離乳食をなかなか食べず苦戦したり、急な病気でアタフタしたり……日々が格闘の連続で、むしろかっこよくない。ニコニコ笑う赤ちゃんとの写真は日々の極一部であり、インスタグラム的にいえば、その大半は「映えない」姿です。



前出の商社マンも、「長く子供達と一緒にいるとカッコつけられない。つくろえず、互いに素が出る。見えなかったこともハッキリ分かるようになるから、理解も絆も深まる」というのはそういうことなのでしょう。

在宅勤務や休校により、子供と夫に三食を支度するのに困っているママ、「調子狂うなぁ」とボヤいているパパも多いでしょう。しかしこの状況はしばらく続きます。それならばと頭を切り替えて、「家族が一緒にいるからできることはなにか」と前向きにとらえたいものです。

親子みな在宅なんてめったに実現しません。貴重な機会として、夫婦、親子、家族について話し合ったり、自問したり、アイデアを試したり、あわてずじっくり取り組んではいかがでしょう。

ドクター本荘の「垣根を超える力」
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文=本荘修二 写真=Getty Images

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