ビジネス

2020.04.07 17:00

不正会計で株価急落のラッキンコーヒー、破産宣告の可能性


破産宣告の可能性も


上海のビジネススクール中欧国際工商学院(CEIBS)教授のOliver Ruiは、ラッキンが今後、機関投資家らに訴訟を起こされ、支払い能力を上回る損害賠償に直面すると述べた。米ポメランツ法律事務所(Pomerantz Law Firm)など複数の法律事務所は、ラッキンコーヒーの株主を代理して集団訴訟を起こすと公表している。

「ラッキンコーヒーは悲惨な結末を迎えることになりそうだ。破産宣告に踏み切る可能性もある」とRuiは述べた。

ラッキンの粉飾を最初に察知したのは米マディ・ウォーターズ・キャピタルだった。同社は1月末に、匿名筋からの情報で、ラッキンが売上を水増しし、詐欺行為を働いているとの情報を入手した。ラッキン側はこのニュースを全面否定したが、報道によるとラッキンはその直前に、新規株と転換社債の発行で7億7800万ドルを調達していた。

ラッキンは同じタイミングで、自動販売機によるコーヒー飲料やスナックの販売を開始するとアナウンスしていた。

ラッキンコーヒーを2017年10月に創業した女性CEOのQian Zhiya(銭治亜)は、カーレンタル企業CAR Incの元COOだ。QianはCAR Incの配車サービス部門UCar社長のLu Zhengyaoらから、1億5000万ドル以上の資金を調達し、ラッキンを立ち上げた。

Luはその後、ラッキンの会長に就任し、発行株式の30.5%を保有する彼は、IPOによりビリオネアの仲間入りを果たした。20%を保有するQianも、株価の急騰により昨年11月に保有資産が10億ドルに達していた。

CEIBSのRuiは、ラッキンの粉飾決算問題の余波が広範囲に及び、米国で上場済みの中国企業や、上場を目指す中国企業に悪影響を及ぼすだろうと述べた。今後は当局による監査の強化が進み、ラッキンに関わった金融サービス企業にも厳しい目が注がれる懸念もある。

「ラッキンと関わりを持った全ての企業に疑惑の目が向けられている」とRuiは指摘した。「彼らは社債を発行したばかりであり、それに関わる会計監査に対する疑念も生じている。ラッキンに関わった企業にも罰則が科される可能性がある」とRuiは続けた。

編集=上田裕資

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