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シャネル N°5

好みが移ろいやすい“香り”を扱いながら、ブランディングと運営手腕で約100年ベストセラーを続ける「シャネル N°5」。その持続可能な秘訣とは。


1921年、当時フレグランスの名前は古臭く響くものが多かった中、シャネルから「N°5」というコードネームのような名前のフレグランスが登場した。

それから約100年、その抽象的な名前のフレグランスは、変わることなく世界中の女性から愛されている。現れては消え、次に現れては消えるフレグランス市場の中、ひとつの香りがこれほど長い間ベストセラーのトップに君臨するのはまれなことだ。

今回、シャネル4代目の専属調香師オリヴィエ・ポルジュに「Forbes JAPAN」のサステナビリティイシューに向けて、「N°5」がサステナブルであるゆえんを語ってもらった。

「シャネル『N°5』は、シャネルのスタイルにおける文法のような存在です。なぜ100年もの間、ひとつの香水が愛され続けてきたのか。それはガブリエル・シャネルが言うように“ファッションは移り変わるが、スタイルは永遠”だからです。『N°5』のように、抽象的で複雑な香りは、ミステリアスであり続けます。そして我々は、時代に応じて『N°5』を再解釈し続けることによって、『N°5』を時代と共に歩ませ、そのモダニティを表現し続けています。『N°5』が長く愛され続けているのには、そのようなことが背景にあるのかもしれません」

1987年シャネルの3代目専属調香師ジャック・ポルジュは、「N°5」の香りを守るためにグラースで5代続く香水原料の花畑を運営するミュル家とパートナーシップを締結。以降、ミュル家は「N°5」をはじめとするシャネルのフレグランスの原材料になるローズ、ジャスミン等の生産、加工までを請け負っている。それに関わる雇用の確保、生産量を増やすための農地の拡大など、このパートナーシップによって、フレグランスのクオリティの保持が可能になった。


シャネルの初代調香師エルネスト・ ボーが「N°5」をつくるためにグラース産のジャスミンを選んだときから、「N°5」に使われるジャスミンやローズの花々はグラースの農場で栽培されている。

「サステナビリティを可能にしたのは、原材料の生産から加工まで、『N°5』に関わった人たちの絶え間ない努力の結果です」オリヴィエ・ポルジュが語るように、クオリティの維持と時代ごとの絶妙なアップデート、そしてこれらを可能にする環境を整えてきたことが、「N°5」をサステナブルなひとつのアイコンに成し得たのは事実。その一方、ガブリエル・シャネルという、時代を超えても決して色褪せることのないセンスの持ち主による、優れたブランディングがベースにあったことも大きな理由のひとつだろう。

edit & text by Etsuko Mashiro

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