M&A市場の活況は終焉へ
新型コロナウイルスのアウトブレイクが株式市場に大打撃を与えている一方で、資金力のある一部の投資家にとっては大きなチャンスだとAnderssonは指摘する。今後、経営難に陥った企業の救済やリストラを目的としたディールがM&A市場を独占する可能性が指摘されている。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、プライベートエクイティ・ファンドやヘッジファンドをはじめ、ウォーレン・バフェットのような著名投資家が旅行、ホテル、エンターテインメントなど、アウトブレイクで特に打撃を受けている業界に目を光らせているという。
Refinitivによると、今年第1四半期は買収価額が100億ドルを超える大型案件の数が2017年以降最も少なかったという。100億ドルを超える案件の総額は1940億ドルと、前年比53%減だった。「大型案件ほど、長期間に渡って対面の交渉を何度も行う必要がある」とAnderssonは話す。
米国でM&Aが大幅に減少した一方で、欧州ではM&A金額が倍増し、2371億ドルに達した。これには、数件の超大型案件が寄与している。例えば、新型コロナウイルスの影響が出始める数週間前には、保険仲介大手エーオンが同業のウィリス・タワーズ・ワトソンを300億ドルで買収した。
11年間続いた上げ相場により、過去5年のうち3年はM&A活動が史上最高水準にあった。しかし、このまま新型コロナウイルスによる影響が収束しなければ、M&A市場の歴史的な活況が終焉するとWSJは予測している。