感染拡大はドローン配送実現に追い風、アイルランドで実証実験

Chesky / shutterstock.com

アイルランドのスタートアップ企業が、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、遠隔地で孤立状態に置かれた高齢者らに、ドローンで医薬品や食料品を届けるサービスの実証実験を開始する。

現地のスタートアップ「Manna Aero」は自社で開発したデリバリー用ドローンを用いた配送実験を、モニーゴール市で始動させる。同社のドローンは、重量4キログラムの物資を搭載可能で、半径4マイルのエリアで1日あたり100回の配送を実施する計画だ。ドローンの位置はスマートフォンで把握可能で、目的地に到達した際にアラートを発信する。

Mannaのドローンは当初、提携先のフードデリバリー企業Just Eatでの利用を前提に開発を進めていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今回のプロジェクトを開始したという。

英紙タイムズによると、今回のトライアルはアイルランドの航空当局の承認を受けており、匿名の医薬品メーカーも参加しているという。

Manna AeroのCEOのBob Healyは声明で「今回の試みは、自宅待機を命じられた高齢の人々の暮らしを支援することを目標とし、食料や処方薬などの物資を届けていく」と述べた。

ドローンを活用した配送サービスはアマゾンも開発を進めており、2016年12月に英国のケンブリッジでPrime Airサービスの実証実験を行った。UPSも先日、ドイツのスタートアップWingcopterとジョイントベンチャーの設立を宣言していた。

一方で、感染拡大により多くのビジネスが閉鎖に追い込まれたことで、Eコマースの需要が高まり、新たなテクノロジーの導入の加速が期待されている。

アイルランドは4月12日までの期間、事実上のロックダウン体制下にあり、食品の買い出しや軽い運動以外の外出は禁止されている。同国のレオ・バラッカー首相は、70歳以上の高齢者らに対して、自宅を離れないように呼びかけている。

編集=上田裕資

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