6. 家庭の「プロセス」の課題
Riney:仕事と家族以外にも「自分自身の時間」を意識的に確保することも、より求められると思います。リモートワークは長時間になりやすいとも言われていますが、Slack社はどう対応していますか?
溝口:先日、弊社のCEOが日経新聞で語っていたのは「9時から17時という働き方にこだわらないことが大事」というメッセージでした。ワークとライフが混在するリモートワークでは、労働時間を厳密に線引きするのではなく、会社とメンバーが目標を共有した上で「1日の中で3〜4時間は集中して働いて、あとは家族のケアに費やしてもいい」といった働き方のほうが合うはず。
これまでの常識にとらわれないで、まったく新しい働き方をつくっていく必要があると思います。マネジャーが時間で管理するマネジメントから、信頼と自立によるマネジメントへと転換が求められているのでは。
Riney:おっしゃるとおりですね。労働を“時間”で記録しないといけない日本の法律の壁に苦労しています。
角:一つの方法として提案したいのは、「業務時間はウェブカメラをオンにする」という前提にして、「カメラがオンになっている時間=労働時間」として測定するる手法。ランチや休憩中はカメラをオフにするようにしたら、カメラの起動記録をタイムカードと同等に活用できるのではないかと思っているのですが。
Riney:なるほど。これからいろいろな新しい手法が生み出されていきそうですね。最後に、リモートワークにしてよかったと思うこと、ポジティブな気づきがあれば共有してください。
千葉:まず、個人として感じているメリットは、業務中の自分の表情が振り返れること。オンラインの会議では、相手の映像だけでなく自分の映像もリアルタイムで見られるので、「なんか疲れた顔して話しているな」とかセルフチェックしながら仕事ができる。自分自身のコミュニケーションを磨く上では、とてもいい機会になっています。
西村:ベテラン社員の営業プレゼンを録画した映像を共有すれば、研修の教材にもなりそうですね。
溝口:リモートワークのメリットは、3つあると思っています。一つは、自分がやりたい仕事に没頭し、集中できること。誰からも邪魔されず、もくもくと資料作れる時間が増えることは、明確に個人の生産性を高める効果があると思います。二つ目は、堂々と昼寝ができること。これ、結構重要で、「15分程度の仮眠は業務効率を上げる」とはよく言われていましたが、現実的にはオフィスではなかなか難しかった。自宅なら人目を気にせず仮眠が取れるのでいい。ただし、寝過ぎには注意ですが(笑)。
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西村:グーグルでも昼寝は公式に推奨されていました。
溝口:三つ目は、業務の棚卸しになること。営業部門のメンバーも顧客訪問をオンライン化したところ、意外にも顧客からも好評だそうで。「この部分は非対面でも充分だよね」と、業務フローを見直すきっかけになっていると思います。
角:同感です。僕が感じているメリットは2つ。まず、出退勤の時間が省けて無駄が減ること。もう一つは、リモートワークによって世界中の仲間と働けること。実際、当社でもカナダ在住のエンジニアが活躍しているのですが、リモートワーク前提になると、世界中の誰とでも働ける環境になる。これはビッグチャンスですよね。