新型コロナで休校中の子どもたちに、いま大人ができること

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新型コロナウイルスにより、子どもたちの生活や教育の環境が激変している。特に都市部では深刻だ。

感染拡大防止のための全国的な一斉休校の要請を受け、3月は98%を超える小中学校が休校となった。高校は島根県を除く都道府県が臨時休校とした(文部科学省調べ)。

その後、要請は一旦解除される方針が政府から示され、春休み前の数日間や、修了式(終業式)、卒業式を含む数回の登校日を設けたところもあるものの、東京、大阪をはじめ感染者の増えている都市部の学校では、始業式や入学式だけを行い、その後も休校を続けている学校が多い。

突然の臨時休校は年度をまたぎ、全体で2カ月に及ぶところも出てきそうだ。もちろん、その先もどうなるかは、いまだ不透明だ。一部の私立学校や大学などではすぐにオンライン授業に切り替えたが、子どもたちの心身の状態や教育への影響ははかり知れず、また保護者も疲弊し始めている。

いま、保護者や教育現場にいる教員たちは、子どもたちのどのような変化に気をつけるべきなのだろうか。また、そうした子どもたちのために何ができるのか。

「病弱教育」のプロフェッショナルである副島賢和さん(昭和大学大学院保健医療学研究科 准教授・学校心理士スーパーバイザー・昭和大学附属病院内学級担当)に話を聞いた。

子どもたちはいま「とても頑張って」いる


「僕は普段、病気の子どもたちにかかわっています。彼らにとって大変なことは、1. 学習空白ができること、2. 体験が乏しくなること、そして、3. 人とのかかわりが希薄になることです。こうなると、「自尊感情」が下がっていきます。今回の新型コロナウイルスよる休校で、子どもたちに出てくる不利益は、それにとてもよく似ている。『病弱教育』という考え方を活かせるところがあると思っています」

「病弱教育」とは、病気等によって、継続して医療や生活上の管理が必要な子どもに対して、必要な配慮を行いながら、入院中や退院後の自宅療養中などで通学が困難な子どもに、病院内や自宅などで行う教育のこと。

副島さんは、東京都の教員として25年間を過ごし、最後の8年間は昭和大学病院の院内学級「さいかち学級」の担任を務めた。教師である傍らホスピタル・クラウン(病院などで心のケアをする道化師)としても活動し、2009年には「赤鼻のセンセイ」というテレビドラマのモチーフにもなった。

現在は、大学や大学院で、発達心理学や臨床心理学、病弱教育などについての講義も行っている。

副島さんがいま、現在の子どもたちの環境において最も危惧しているのは、「人とかかわること=危ない」ということのしんどさだ。これは、子どもだけでなく大人にも同じことが言えるだろう。

親しい人と食事をしたり、何気ない会話をしたり、スキンシップをしたりする、何気ない日常のそうしたやりとりを控えなければならない状況は、ゆっくりと私たちを追い詰めていく。
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文=太田美由紀

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