では、学校が休校で、友達と一緒に勉強できない状況では、家庭でどのようにすればいいのだろうか。
「低学年や勉強が苦手な子は、勉強をするときに一緒に見てあげることが必要です。一緒にといっても、横に座ってじっと見ているということではなく、お母さんは横で本を読んでいる、兄弟姉妹も一緒に違う勉強をする、お父さんはパソコンで仕事をするなど、同じ空間でそれぞれが違うことをしていてもいいと思います。そして、『わからないことがあったらいつでも聞いてね』と声をかけてあげてほしいのです」
入院中、学校に通えない子どもたちに教育を行う院内学級では、大事にしていることがあるという。
「入院中の子どもたちに必要なことは、できたという感覚を持つことです。そうすると、『休んでいる間にも勉強したよ』と自信を持てるようになります。
家庭で勉強を見るときには、声かけも大事です。『これができてないよね』『これ間違っているよ』『これまだやっていないじゃない』などのネガティブな言葉ではなく、『これできたね』『これあってるよ』『これ、よくわかったね』と、プラスの言葉をたくさん言ってあげてほしい。
失敗したり、間違えたりしても、『失敗は誰でもあるよ』『ここを間違えていても、こっちはできているよ』と、積極的に認めてあげることが、1人でも学習が続くポイントです。同じ教科だけやりたがる子には、『また算数ばっかりやって』『得意なことしかしない』と声をかけるのではなく、得意なことからやればいいと、その子がやっていることを認めてあげてください」
そして、ドリルなどで答え合わせが必要な場合には、ちょっとしたコツがあるそうだ。
「僕は、間違ったところにバツはつけないんです。四角く囲んであげて、『これはもう1回やったほうがいいよ。わからなかったら言ってね、一緒に考えるから』と声をかけます。最初に正解したものには、一重丸。やり直した問題は二重丸にしています。だって、できなかった問題ができるようになったのだから、すごいですよね。間違ったって、失敗したっていいんだよって伝えたい。そういうことを院内学級ではやっています。
教育というのは、子どもの発達を保障することです。学習や学びというものはあくまで手段で、それを使って教師が子どもたちとかかわっていくうちに、子どもたちの不安が和らいだり、自分の意見を言えるようになったり、体が感じていることを受け取れるようになったりすることなのです」
副島さんの子どもたちに対する姿勢、つまり、病弱教育の考え方には、教育の本質が表れている。次回は、学校再開後に気をつけたいことを中心に、副島さんの話を紹介したい。
ホスピタル・クラウンに扮した副島賢和さん
連載:教育革命の最前線から
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