朝日新聞編集委員(朝鮮半島、米朝・日米関係担当)

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「ファイブ・アイズ」をご存知だろうか。アメリカを中心とした英語圏5カ国の機密情報ネットワークだ。この機密ネットワークのある文書に「日本」の未来を予測する報告があった。安全保障分野のトップジャーナリスト、牧野愛博氏によるオーストラリアレポートの最終回をお送りする。


豪州の首都・キャンベラ。国会議事堂から見える位置にオーストラリア戦争記念館がある。そこには、豪州が過去参加した戦争に関する資料や遺品などが収められている。記念館の目的は3つある。戦死者への鎮魂、若者への教育、そして戦争に関する記録の保存だ。わざわざ国会議事堂から見える位置に記念館を置いたのも、「政治指導者が誤った判断で戦争に突き進まないよう、常に記念館を眺めながら自戒できるようにするため」(日豪関係筋)なのだという。

かつて、この記念館を訪れた日本の研究者は目を丸くした。この研究者は記念館の関係者に「日本には、鎮魂と教育を一緒に行う公共の施設がないんですよ」と残念そうに語ったという。対中戦争から第2次世界大戦に至る期間の歴史認識を巡って、日本は今も様々な意見が飛び交い続けている。

日豪関係筋の一人は、この記念館に眠っているひとつの興味深い外交文書の存在を私に教えてくれた。1971年6月に作成された「Anti-submarine warfare in the 1980’s(1980年代の対潜水艦戦)」と題した文書で、冷戦終結という時間の経過によって秘密指定が解除されたものだ。題名の通り、1980年代に主要国が保有する潜水艦の戦力がどうなっていくのかを展望し、対潜水艦戦がどのように展開されていくのかを報告したものだ。

では、いったいこの文書は、誰が書いて、誰のために作ったものなのか。オーストラリア軍がオーストラリア政府のために作ったのか?確かに、文書の宛先は豪国防相になっていたがが、文書には、いたるところに「secret covering US/UK/AUS/CAN/N.Z. eyes only」「joint intelligence organization(JIO)」などのスタンプが押してあった。

関係筋は「私も詳細はわからないが、おそらくファイブ・アイズの合同情報組織がメンバー国に向けて提供した文書なのだろう」と語った。ファイブ・アイズ。同じ英語圏の米、英、豪、カナダ、ニュージーランドの5カ国が参加する秘密情報ネットワークのことだ。

文・写真=牧野愛博

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