ファッションとサステナブル。作り手も消費者も「意識」を問われる時代に

ロンドンにあるステラ マッカートニーの旗艦店。壁紙は再生紙、マネキンはサトウキビ製だ


問われる消費者意識


佐藤:作り手サイドの視点もさることながら、消費者サイドへのエデュケーションも必要ではと感じます。いままではビジネスマンが装いを選ぶとき、その判断基準は値段やブランドが主流でしたが、今後はそこにサステナブルであるかどうか、という軸が加わるのではないか、と。

村上:そのとおりですね。羊毛を刈り取る牧場からEコマースまでの全工程を内製するからこそ、自社内で再原料化・再生産・販売までリサイクルする流通システムを作りあげたエルメネジルド ゼニアや、昔発表したコレクションピースの売れ残りをリメイクすることで新コレクションとして蘇らせたマルニなど、ブランドのサステナブルへの取り組みは独自の存在価値を持つからこそ多岐にわたっています。消費者は、共感できるポイントを探しながら消費しています。


エルメネジルド ゼニア クチュール 19秋冬コレクションに登場したリサイクルカシミアのコートを使用したルック

佐藤:ケリングは一般の人も簡単にファッション製造が環境へどう影響を与えているか数値化できるアプリ「My EP&L」を開発したほか、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションと共同で「ファッション&サステナビリティ:変化する世界のラグジュアリー・ファッションを学ぶ」と題した無料オンラインコースを開講しています。インターネットにより世界中が触れられる試みは意義深いですね。

村上:大切なのはこのサステナビリティへの取り組みを一過性のトレンドにしないこと。冒頭で「ロハス」って久々に聞いたなと思いましたが、この「サステナブル」「サステナビリティ」は死語にしてはいけないテーマ。メーカー主導のマーケティング戦略のひとつで終わらせないためにも、ともに考えるからこそ厳しく見守る消費者の視線が必要です。


村上 要◎WWD JAPAN.com編集長。1977年、静岡県生まれ。東北大学卒業後、静岡新聞社に入社。社会部の事件記者、ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)への留学、NYでのエディター経験などを経て現職。

佐藤英樹◎Forbes JAPANライフスタイル編集部執行役員。1969年、岐阜県生まれ。「Esquire」「Rolling Stone」など海外誌日本版や、「OCEANS」、TOKYO GIRLS COLLECTIONなどイベントのメディア・ウェブ事業を経て現職。

text & edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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