ファッションとサステナブル。作り手も消費者も「意識」を問われる時代に

ロンドンにあるステラ マッカートニーの旗艦店。壁紙は再生紙、マネキンはサトウキビ製だ


ファストファッションへの伝播


佐藤:ラグジュアリー・グループであるケリングのフランソワ=アンリ・ピノー会長は「ラグジュアリーとサステナビリティは同一であり、サステナビリティは私たちにとって不可欠であるだけでなく、ビジネスを成功に導くものである。創造性と革新性の源であり、品質と信頼も保証するもの」と明言しています。

いわばピラミッドのトップに立つラグジュアリーブランドがサステナブルであろうとするのは当然だろうと推測しますが、一方で、ファストブランドはどうなのでしょうか?

村上:大量に生産するため、大量に廃棄せざるをえなかったファストファッションもいま、サステナブルなビジネスに転換しようと懸命です。これまでの消費者は安価であることをありがたがっていましたが、いまはその低価格の背景に「地球のどこかで労働者が、想像もできない低賃金で働いているのかもしれない」と考えるようになっています。

いまの消費者は、利己的にショッピングするのではなく、地球環境などを考え、賢く買い物しようと考えています。ゆえにここ2、3年で消費者のファストファッションに対する視線は、従来に比べ格段に厳しくなりました。


25年までにグループが使用する素材の約90%をよりサステナブル、またはリサイクルされた素材に変更すると発表しているZARA。

ファストのなかでも好調なZARAは、25年までにコットン・リネン・ビスコース・ポリエステルにおいてはすべてオーガニック、よりサステナブル、またはリサイクルのものを用いると発表しています。

またファスト同様、染色やブリーチの過程で地球を汚してきたデニム業界も変革しており、プレミアムデニムブランドのAGは工場用水の再利用に取り組み、19年にはついに自社工場で完全循環のウォーターフィルタレーションシステムを構築しました。オランダのG-STAR RAWは100%オーガニックコットンを使用し、いままで水を使用していたウォッシュ・ダメージ加工にレーザーやオゾン技術を活用するなど、デニム業界のサステナブルなイノベーションはめざましく、頼もしいです。

佐藤:再生繊維は日本のメーカーがリードしているとも聞きますし、サステナビリティへの意識喚起はビジネスチャンスにもつながっているんですね。
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text & edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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