これは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、UNWTO(世界観光機関、本部はスペインのマドリード)が、主要国連機関、各国地域委員会議長、観光民間セクターのリーダーなどを集め、世界規模の復興に向けた指針策定のために緊急開催した「国際観光危機管理委員会」で披露されたメッセージだ。
会議では「新型コロナウイルス感染症の共通課題は、唯一、世界が連携することで対処することができ、復興はこれまでに見られなかった規模での連携にかかっている」として、同意され、近く復興のための一連の提案を発表する予定だとしている。
日に日に深刻な事態となっていく世界的なパンデミックのなかで、いまつくづく感じるのは、日本が極東の島国だということだ。私も含め、いつもは世界や国際社会の中心にいるような感覚をついつい持ってしまう日本人だが、実際は「極東の国」の「極」に示される通り、世界の中心からは極めて遠い「アジア」の1国なのだ。
確かに、日本の感染者の数字を見ると、欧米に比べてまだ少ないが、それは日本が「島国」だから感染の広がりが少ないということでもあるだろう。
世界中から届けらける各地の状況
先日、スイスにいる友人とスカイプで話したとき、「スイスはイタリアと接しているから、イタリアからの罹患者を日々受け入れている。いま、自分にできることは自宅待機して感染を広めないことだ」と自戒していた。
友人の会社も含め、スイスではほとんどの企業が自宅でのリモートワークとなっているという。「困っていることはないのか」と尋ねたら、「スーパーはちゃんと開いているし、休業についても国がちゃんと適切な保障をしてくれるから大丈夫」とのことだった。
ドイツの知人は、「欧州は各国がつながっているから、感染拡大は目に見えていたし、島国の日本とは違う。もうすぐ感染者をどの順番で診るのかを判断するトリアージ基準が決まるはず。そうししないと、医者も精神的に持たない」と話してくれた。
ロンドンから連日のように情報を送ってくれる仕事関係の知人からは、「海外展示会の開催は少なくとも年内はたぶん全滅だと思う。来年以降も、人が集まる催し物は難しいかも。ワクチンができて効果を発揮するには2年くらいかかるとも聞いているので。ロンドンの展示会場が感染者用の病院になり、バーミンガムの空港の横には何万人もの遺体を収容できる施設ができている」との驚くべき内容のメールが送られてきた。
イギリス政府は、国民に対して、新型コロナウイルスでの死亡者を2万人で抑えたいと科学者や感染研究所などがシミュレーションをしていると伝えている。また、その数で抑えられるかどうかは、国民が「stay home to save life(家にいて外には出ない)、人と会わない、ソーシャルディスタンスを守れるかどうかにかかっている」と口を酸っぱくして何度も警告しているとのことだ。