春に向かう空気感だけでも感じられるように
こうした小さなムーブメントは、他の国や地域でも起きつつあるだろう。日本国内でも、農家が農作物をオンライン販売し始めたり、飲食関連の企業が自社のレシピを公開するなど、動きは少しずつ増えている。
3月30日、デンマークのフレデリクセン首相は「入院者数等の増加速度がやや減速しており,恐れていたような感染爆発は起きていない。イースター後に,少しずつ社会を再開させる」との見方を示した。油断はできないが、前向きであることは間違いない。
閉鎖された街で暮らす人々の様子について、松浦さんはこう感じている。「首都周辺には外国人やルームシェアをしながら暮らす若者も多いのですが、こんな状況でも誰もが比較的落ち着いていて、政府の方針に素直に従っている印象を受けます。消費税などの税率が高い分、こういった時こそ政府がサポートをしてくれるはずだと信じて過ごしている雰囲気です」
普段は雨が多い春先のコペンハーゲンだが、制限が始まって以来ずっと晴天が続いているそうだ。
「ベランダに出たりして、みんな穏やかに暮らしています。春に向かう空気感だけで、少し気持ちが軽くなっているように感じます」
日々変わる状況に対して、賛否あらゆる意見が飛び交う昨今だが、長期的なパンデミックに向き合うためには、非日常の対応だけではなく、その先にある日常を見据えた行動が必要となる。こうしたコペンハーゲンの日常を知ることには、少なからず意味があるのではないだろうか。