事実上の都市封鎖から2週間 コペンハーゲンの飲食店が始めたチャレンジ

パン職人のイェスパー・グッツは、有料のオンラインワークショップを開始


同じ地区に店舗を構える人気カフェ「リレ・ベーカリー(lille bakery)」は状況を受けて、3月19日にすぐさま食料品デリバリのためのオンラインサイトを立ち上げた。

同店のインスタグラムでは、「ベータ版なので、まだエラーが発生する可能性があります。正直言って、うまくいくかどうか完全にはわかりませんが、やってみたいと思っています」とコメント。友人や近所の人、パートタイマーなど、通常収入がなくなってしまった人々を助けるため、利益はすべて彼らの支援にあてるという。

飲食店は自発的に次々とオンライン化


そのほか、表参道に期間限定でオープンした「ヘイ(HAY)」のカフェ・ディレクションにも関わったフレデリック・ビレ・ブラーエ(FREDERIK BILLE BRAHE)は「#stayhomecooking」なるハッシュタグ企画を開始した。

フレデリックはコペンハーゲンで「アポロバー(Apollo Bar)」「アトリエ・セプテンバー(Atelier September)」などのオーナーを務める現地でも注目の存在。彼自身がカフェで人気のグラノーラのレシピなどを公開しているほか、一般ユーザーが投稿したレシピを拡散するなどし、投稿はこの1週間で2000近くにおよぶ。

彼は経緯をこう説明する。「レストランでは当たり前だったおもてなしができなくなった時、自分の料理への情熱を日々SNSに投稿することで、人々に幸せを届けることができるのではないかと考えたんです。世界中で同様の隔離がなされている今、自宅でのクッキングを投稿したり見たりすることで人々がつながり、励まし合えるんじゃないかと」

その「アポロバー」や「ノーマ」を経て独立したパン職人のイェスパー・グッツ(Jesper Gøtz)もオンラインを活用。工房で実施予定だったワークショップを急遽オンラインに切り替え、有料のオンラインワークショップを開始した。


パン職人のイェスパー・グッツ

まずはサワードウという一般的な生地のパンの作り方を公開しており、今後もさまざまなコンテンツを配信予定。すでに世界中にオンライン受講者がおり、彼のレシピで作ったパンの画像が毎日送られてくるという。さらに本格的なパンを作りたい近隣住民に向けては、イェスパーが使用している小麦を自転車でデリバリーしているそうだ。

松浦さんは「いいアイデアがある」を誘われ、この動画の撮影・編集を担当した。

「サワードウを食べたいなと思っても2日間の発酵が必要なんです。でも、家にこもらなきゃいけない人たちにとっては、パン作りが編み物と同じくらい最高のアクティビティなんじゃないかと感じています」
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文=角田貴広 写真=松浦摩耶

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