シュー会長は、「中国政府は、当社がまな板の上で殺されるのを黙って見過ごすはずがない。中国はセキュリティ上の懸念を理由に、米企業が製造する5Gチップやスマートデバイスの輸入を禁止することもあり得る」と述べ、米国政府による制裁を厳しく批判した。
米国による禁輸措置の影響を受けつつも、ファーウェイの2019年の業績は好調だった。売上高は19%増の1230億ドル(約13.4兆円)、純利益は90億ドルだった。シューは、「素晴らしい業績をあげることができた」と声明で述べた。
しかし、ファーウェイの業績を詳細に分析すると、2020年が同社にとって非常に厳しい年になることが見えてくる。
同社の2019年度の業績を見ると、成長を牽引した2つの要素が、今後の不安要素でもあることに気づく。中国国内の事業が36%成長し、全売上高に占める割合が60%近くに達している一方で、海外での業績は悲惨なものだった。
さらに気になるのは、コンシューマ向け事業の売上高が前年比34%増になったのに対し、ネットワークやエンタープライズ向け事業が1桁成長にとどまっている点だ。
スマートフォン事業の高成長を受け、ファーウェイの中国国内におけるシェアは2018年の27%から38.5%に拡大した。しかし、海外では苦戦が続き、フラッグシップモデルのMate 30はグーグルのソフトウェアを搭載していないことから、秋以降に売れ行きが失速した。
2019年の出荷台数データによると、ファーウェイは前年を上回る2億4000万台を出荷したが、サムスンを逆転するために必要な3億台には遠く及ばなかった。新たにリリースしたP40もグーグルのソフトウェアを搭載しておらず、海外での売上増は見込めない。
一方で、ファーウェイは国内のライバル企業からの追い上げにさらされている。先月、ファーウェイはスマホの出荷台数で、競合のシャオミ(小米)に初めて逆転された。シャオミはファーウェイと同日に業績発表を行い、「当社のスマホの出荷台数は、上位5社の中で最高の年成長率を達成した」と胸を張った。