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2020.04.24

半世紀の歴史を経て、新たな領域へ。富士ゼロックスが仕掛ける大胆な変革の全貌

富士ゼロックス代表取締役社長 玉井光一

富士ゼロックスが一世一代の変革に挑んでいる。半世紀にわたり続いた米ゼロックスとの技術契約を終了して、「富士フイルム」ブランドをまとい世界の市場を獲りに行く。熱を帯びる成長の戦略を、代表取締役社長の玉井光一に聞いた。


富士ゼロックスの業績が好調だ。2018年度に過去最高益を記録し、19年度も好業績の見込みだ。

「従業員が果敢に取り組んでくれた。そこで得られた成果をお客様と分かち合いたいですね」と、代表取締役社長の玉井はすがすがしい表情で話す。

富士フイルムホールディングスのCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)、富士ゼロックスの副社長を経て、玉井が社長に着任したのは2018年6月。それから約2年の間に経営の課題をつぶさに洗い出し、さまざまな取り組みを通して確実に利益を出せる企業体制を整えてきた。まさに、備えあれば憂いなし。変革への下準備は、水面下で着々と進められてきたといえる。

富士フイルムブランドで、全世界へ

今後の方向性を決定づける重要な発表がされたのは今年1月6日のことだ。

富士ゼロックスは1962年、英ランク・ゼロックス(当時)と富士写真フイルム(当時)の合弁企業として東京に誕生した。現在、デジタル複合機やレーザープリンターなどオフィスでのプリントに広く使われている「ゼログラフィー技術(電子写真技術)」を日本やアジア市場にもたらした。以来、富士ゼロックスは一方の親会社である米ゼロックスとの間で、技術/ブランドライセンスや販売テリトリーなどを規定した技術契約を結んでいたが、契約期間満了日の2021年3月31日をもって同契約を終了することを発表。21年4月1日に、社名を「富士フイルム ビジネス イノベーション」に変更することを明らかにした。

「ゼロックス」ブランドと決別してまで、何を成しえたいのか。複合機業界のみならず世界がざわついた。

技術契約の終了によって何が変わるのだろう。玉井に問うと、真っ先にこう切り出した。

「まずお伝えしたいのは、お客さまには継続して同じサービスをご提供できることです。自社の技術開発や商品開発のスピードとレベルの向上により、現在では独自技術による商品づくりを行っています。すでに納めている商品やサービスについて、なんら変わりはありませんのでご安心いただきたい」

そのうえで、明確に変わるポイントが3つある。最大の変化は、販売テリトリーが全世界へと拡大することだ。富士ゼロックスの販売テリトリーは、現在アジアとオセアニアに限られているが、21年4月以降は独自ブランドでワールドワイドにビジネスを展開できるようになる。

次に、新規事業への投資や提携・買収が独自判断で迅速に実施できるようになるほか、富士フイルムグループ内の連携を強化することで、イノベーションを通じたより革新的な商品やソリューションを顧客に提供できるようになる。また、これまでは米ゼロックスと技術特許を共有していたが、技術契約の終了以降は、自社で発案した特許の専有が可能になる。技術力を強みとする同社にとっては好都合といえるだろう。

そしてもうひとつ。ブランド名は「ゼロックス」から「富士フイルム」に変更となる。これまでブランド使用料として米ゼロックスへ支払っていた年間約100億円のコストを、新規事業などの投資に充てられるメリットは大きい。



常にビジネスに革新を

1月の発表では、すでに「富士フイルム ビジネス イノベーション」という新社名が決まっていたこともインパクトが大きかった。

「確かに、実際に社名変更するまで1年以上ありますからね。しかしながら、“ゼロックス”というのは、従業員にとって愛着がありお客さまにとっても馴染み深いブランドです。ここは丁寧に時間をかけて今回の決断の経緯を説明しなければなりません。そのために早いタイミングで発表しました」

社名には「富士フイルムグループの企業として、常にビジネスに革新をもたらす存在であり続けたい」との決意を込めた。グループ内の連携を図ることで、シナジー創出を加速させるとともに、クラウド、AI、IoTを活用した革新的なソリューション・サービスの導入をさらに推し進める方針だ。

「たとえばAIの領域で、富士フイルムのメディカル分野とシナジーがあります。富士フイルムが保有する画像処理技術と当社の言語処理技術を組み合わせることで、新たなITソリューションの可能性が広がります。これまで培ってきた富士ゼロックス・富士フイルム両社の技術を融合させ、今後もそれぞれの強みを生かした効果的かつ効率的な開発体制を構築することにも注力していかなければならないと思っています」

OEMで欧米の市場を開拓

「海外市場にはどのように打って出るか。新たに広がる欧米市場には、まず他社ブランドの商品の製造を請け負う、つまりOEM供給から始めます」と玉井。その戦略の裏には、ある意味、うれしい誤算もあったようだ。

19年11月に富士フイルムホールディングスの100%子会社になって以降、国内外のメーカーから、OEM供給を受けたいという打診が届く。「なぜ当社と組みたいのか、と尋ねると、異口同音に、『世界のメジャーな複合機を並べて比較したところ、最も堅牢だったのが富士ゼロックスの商品だった』という評価をいただきました。過酷な環境下でも、紙詰まりしない、誤作動しない、サイバーアタックをかけても情報の漏洩がない、と。競争が激しい欧米市場に固定費をかけて出ていくかは、慎重に考えるべき。まずはOEMの状況をみながら独自ブランドの展開を検討していく考えです」

すでに販路のある地域については、市場シェア拡大やソリューション・サービス展開の加速につながるM&Aを推進していく。2月にオーストラリアのオフィスITサービス企業「CSG」を買収したが、それは、同社がもつ中小企業への販路を活用し、複合機の販売やオフィスITサービスの事業を拡大するためのものだった。大手企業を主な顧客にもつ富士ゼロックスは、中小企業に強みをもつCSG社を買収することで、両社の相互補完的な事業体制を活用し、より幅広い顧客層の獲得を目指す。

工学博士でもあり、精密機械を設計するかのように緻密な戦略を練る玉井には、現在1兆円の売上高を、24年度に1.3兆円に引き上げるという目標がある。そして、その売り上げに貢献するゲームチェンジモデルの開発にも取り組み、目下、最終調整の段階に入っているという。

富士ゼロックスが中核となって世界のビジネスにイノベーションを巻き起こす──その準備は整った。



仕事も趣味も手を抜かない

日々仕事に邁進する玉井の趣味は、10年前に始めた薔薇の栽培。多種多様な花の中から薔薇を選んだのは、「育てるのが難しいから」というのは何とも彼らしい。「仕事と同じで、手を抜くと痛い 目にあう 。でも手をかければかけるほど、見応えのある花を咲かせて、見る者を感動させてくれるのが醍醐味です」。

春から初夏のハイシーズン、優雅な姿をお目当てにご近所の方々が鑑賞に訪れる。





玉井光一◎1952年生まれ。 富士ゼロックス株式会社代表取締役社長。東京大学工学系研究科精密機械工学にて論文により博士(工学)学位取得。東芝を経て2003年、富士写真フイルム(当時)入社。富士フイルムホールディングス取締役執行役員、同社チーフ・イノベーション・ オフィサー(CIO)、 富士ゼロックス代表取締役副社長を経て18年6月より現職。



富士ゼロックス株式会社

Promoted by 富士ゼロックス text by Sei Igarashi photographs by Ryoji Fukuoka(GEKKO) | edit by Akio Takashiro

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