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2020.04.05 09:00

ペスト、コレラ、スペイン風邪・・・人類はどう感染症の流行と向き合ってきたか

イランの首都テヘランで新型コロナウイルス感染拡大の予防を行うボランティア

イランの首都テヘランで新型コロナウイルス感染拡大の予防を行うボランティア

米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターが4月1日に公表した集計によると、新型コロナウイルスによる全世界の死者数は4万2000人を超え、3月31日時点での全世界の感染者数は約85万人となった。
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人類と感染症との戦いは今に始まったことではない。感染症がどのように発生し、収束したのかをまとめた。

感染症流行による人々の混乱の様相は、昔も今も大差がないようだ。また、感染症の流行は人類の歴史を形作る上での大きな要素にもなってきた。これまでの4つの主要な感染症流行を振り返り、今一度、現在私たちが直面している新型コロナウイルスの蔓延について考えてみたい。

天然痘は1980年にWHOが根絶宣言


天然痘の起源は現在でも研究が継続されていて定説がないのだが、米国の学術誌「カレント・バイオロジー」に発表された論文では、16世紀末から発生したウイルスなのではないかと言われている。天然痘を引き起こす痘瘡ウイルスは高い致死率と感染性をもち、飛沫感染もさることながら接触感染の威力が凄まじい。感染によってできる発疹が触れた衣類や寝具なども感染源となるのだ。
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天然痘は、人類史上初めて根絶に成功した感染症だ。1977年に最後の患者がソマリアで発生して以来感染は認められず、WHOは1980年に天然痘の世界根絶宣言を行っている。近代免疫学の父とも呼ばれるエドワード・ジェンナーが1796年に種痘と呼ばれる天然痘の予防接種を考案し、その普及により徐々に収まっていった。

江戸時代の日本でも感染は甚大で、症状の治癒後も発疹の痕が残るため「痘瘡は見目(みめ)定めの病」と言われた。発疹の痕を隠すために化粧を念入りに施す女性が多くなったという説もある。

ペスト流行の歴史の光と影


アルベール・カミュの小説「ペスト」が、ネズミが大量に死んでいる様子から始まるように、ペストは主にウイルスに感染したネズミなどげっ歯類の動物と、媒介するノミが原因となって引き起こされる感染症だ。パンデミック(世界的大流行)となった中世のペストは、クマネズミによってもたらされたものであったという。

ある種のノミは好んでネズミなどに寄生するのだが、そのネズミがペストに感染しているとノミがペストウイルスを吸い込み、ヒトに飛び移った際にヒトへも菌が移され、感染症が引き起こされるというわけだ。

14世紀には欧州の人口の三分の一がペストにより命を落としたとも言われており、人々は病を「黒死病」と呼び恐れていた。黒死病の蔓延は社会情勢にも多大な影響を及ぼした。農奴解放が促進されるなど旧体制打破への一歩となった反面、ユダヤ人が宗教的陰謀のため病原菌を撒いたと噂され、各地でユダヤ人虐殺事件が起きたりもした。

感染が確認された場合、抗菌薬の投与によって治療が行われる。1894年には北里柴三郎によりペスト菌が発見され、有効な治療法が確立されてはいる。しかし現在でもペストに感染するリスクはあり、2017年にはマダガスカルでの感染流行が確認されている。
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文=河村優

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