1969年は、時計界にとって重要な年だった

日本がGNP(国民総生産)で西ドイツを抜いて世界2位となった1969年は、時計界にとっても重要な年だった。

新しい駆動方式“クオーツ”が誕生し、機械式時計にも“自動巻きクロノグラフ”が登場。またアポロ11号によって、腕時計が初めて月に行ったのである。その3つのトピックについて振り返ってみよう。

1. 自動巻きクロノグラフというムーブメントの登場


1950年代から70年代にかけては、数多くのスポーツウォッチが登場しているが、どれもがラウンド型ケースだった。理由は簡単で、当時はスクエア型で高い防水性(防塵性)が得られなかったから。

そんななか69年に誕生したのがこの「モナコ」だ。当時は69年に初めて開発された自動巻きクロノグラフムーブメント「キャリバー11」を搭載。現在は右リュウズの「キャリバー12」搭載モデルも人気で、防水性能は100mまで高められている。このモデルは、ヒストリカルピースから着想を得たグレーサンドブラストダイヤルが採用されている。


TAG HEUER Monaco Calibre 12 Chronograph Final Edition
自動巻き、SSケース、39mm径、64万円 問い合わせ/LVMHウォッチ・ジュエリー・ジャパン タグ・ホイヤー(03-5635-7054)


2. 新しい駆動方式は、日本で生まれた


現在、GPSソーラーウォッチとして親しまれている「アストロン」の名の元祖は、世界初のクオーツ式腕時計のものだった。1969年に発表された「アストロン」のメカニズムは、月差±5秒という精度も相まって、世界の時計界に衝撃をもたらした。その後、セイコーが特許を公開したことで各メーカーが参入。70年代の市場を席巻することになる。

今日でも大半のクオーツ式腕時計が、セイコーが開発したシステムを使用している。そして今年、オリジナルの意匠を再現した、18Kイエローゴールドケースのトリビュートモデルが発表された。


SEIKO ASTRON The 1969 Quartz Astron 50th Anniversary Limited Edition
世界50本限定。クオーツ、18KYGケース、40.9mm径、380万円 問い合わせ/セイコーウオッチお客様相談室(0120-061-012)


3. 月面に到達した唯一のムーンウォッチ


1969年、アポロ11号による人類初の月面着陸に「スピードマスター」が携行された。唯一無二の“ムーンウォッチ”である。「スピードマスター」はNASAが宇宙飛行士が使用するための時計を選ぶにあたって、市販のモデルを試した結果、温度、気圧、湿度、衝撃など過酷な試験をクリアした唯一の時計だったのだ。

そんな歴史的快挙から50年を記念したモデルが6969本限定で発売された。ケースバックには「THAT’S ONE SMALL STEP FOR A MAN,ONE GIANT LEAP MANKIND」の文字が刻印されている。


OMEGA Speedmaster Apollo 11 50th Anniversary Limited Edition
手巻き、SSケース、42㎜径、103万円 問い合わせ/オメガお客様相談室(03-5952-4400)

text by Ryoji Fukutome

この記事は 「Forbes JAPAN 1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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