重力が強いと時間は遅く進む。密度の高い10分のプレゼンは、その科学の法則のような10分かもしれない。プレゼンを行った星は、入社以来、家電事業本部に在籍する生え抜きだ。そして配属初日にこの現場を見させてもらったという。
プレゼンを終えインタビューに駆けつけてくれた星。
「噂には聞いていましたがものすごいスピードで案件がまわっていきます。入社半年でプレゼンの役目をいただくことになりましたが、その時のことは緊張で覚えていません(笑)」
9年目の今では、堂々とプレゼンをこなすまでに成長。彼女と事業部が世に送り出した代表的な商品はCMでもよく見る「サーキュレーター」などだ。
「この会議から生まれ、自ら担当した商品が世に出るのはこのうえない喜びです。会議が果たす役割は大きいですね。中途入社の方は、会議の内容もさることながら即断即決のスピードにびっくりされます」
彼女の上司である家電事業部長勝間も同様だ。
「私も最初にあの場所に立った時は、いつもの3倍以上のメンタルのタフさが必要だった記憶があります。今よりも商品数が少なかったので、1点にかけるシビアさがキツかった。私は現在、プレゼンを聞く部門責任者陣のほうに座る立場ですが、いつでも部下をバックアップできる状態でいます。この機会は育成の場でもあるので、副事業部長、担当部長が発表の主軸でうまく回るよう整えています」
部下を見守り自らも決裁者である勝間
両者とも、プレッシャーでできているようなこの月曜日がアイリスオーヤマ にとって最大の強みだと感じている。勝間は言う。
「今では他社さんからの中途入社の社員が増えてきていますが、みなさん、即決決裁のスピードに驚かれます。関係者が揃い、首脳陣が揃い、その場で物事が決まる。多くの人の言葉や説明、金額が飛び交うので、自然に案件がオーソライズされ、ヒューマンエラーも起きにくい。時間のかけ方など会議の形が今後変化したとしても、そのままハンコが押せるこの仕組み自体は変わらないでしょう。それが無二のアイリスオーヤマのスタイルですので」
ライフスタイルを支える製品群に家電領域。商品数が拡大し続ける同社の核となるプレゼン会議。統括し、決裁する大山社長は、この“革命的”とも言える会議システムをどう見ているのか。