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クラウドサービスの普及から、近年耳にすることの多くなったキーワード、「SaaS」。2000年代後半から広がり始め、今では国内でも時価総額が数百億円規模の「SaaS企業」が続々と登場している。

ここでは改めて、活気ある市場を築いている「SaaS」という言葉の意味と、サービス及び提供企業の例を解説する。

SaaSは「クラウドから提供されるソフトフェア」


「SaaS」(サース/サーズ)とは、「Software as a Service」の略語であり「クラウドから提供されるソフトウェア」の総称である。

従来のソフトウェアは、ユーザーが製品・ラインセンスを購入し、自分のコンピューターで稼働させる形が中心だった。しかし「SaaS」では、提供企業が稼働させているソフトウェアの機能をクラウド経由で利用できるため、ユーザーは自分のコンピューターに製品をインストールする必要がない。

たとえば身近な「SaaS」としては、グーグルが提供する「Gmail」「Google ドキュメント」などが挙げられる。メールソフトやオフィスソフトを自身のコンピューターにインストールすることなく各サービスの利用が可能だ。

「SaaS」のユーザーメリットは、導入や管理の労力が抑えられること、また、常に最新版のソフトウェアが利用できること、使用した期間・量に応じた支払いで済むことなどにある。一方提供者側のメリットとしては、新規顧客を獲得しやすくなること、収益が安定すること、サポートコストを軽減できることなどが挙げられる。

なおデメリットとしては、カスタマイズの自由度が低いこと、システムトラブルやネットワーク障害時に利用が困難になること、セキュリティ上の問題が発生した際の被害の大きさなどが挙げられる。

世界全体では約1440億ドル規模の市場に


2022年に世界では約1440億ドル(約15兆円)規模、国内でも約8200億円規模の市場に成長すると見られ、競争激化とともに事業領域を急拡張している「SaaS」ビジネス。

国内で利用されているサービスを大きく領域整理すると「コラボレーション」「マーケティング」「ヒューマンリソース」「バックオフィス」の4ジャンルに分けられる。

コラボレーション領域には、「Microsoft Office 365」(マイクロソフト)、「G Suite」(グーグル)、「サイボウズ Office」(サイボウズ)などのグループウェア機能、「Slack」(スラック)、「Chatwork」(チャットワーク)などのビジネスチャット機能、「Trello」(アトラシアン)、「Todoist」(トゥードゥーイスト)などのプロジェクト管理機能、「Dropbox」(ドロップボックス)、「Google Drive」(グーグル)などのオンラインストレージ機能を提供するSaaS及び企業が存在する。

マーケティング領域には、「BOXIL」(スマートキャンプ)、「ferret One」(ベーシック)などのWEB最適化機能、「marketo」(アドビシステムズ)、「SATORI」(サトリ)などのマーケティングオートメーション機能、「Microsoft Dynamics 365」(マイクロソフト)、「Zoho」(ゾーホー)などの顧客管理機能、「Eight」(サンサン)、「CamCard」(イントシグ)などの名刺管理機能を提供するSaaS及び企業がある。

ヒューマンリソース領域には、「Wantedly」(ウォンテッドリー)などの採用管理機能、「HRBrain」(エイチアールブレイン)などの人事評価機能、「SmartHR」(スマートHR)などの労務管理機能を提供するSaaS及び企業が存在。

バックオフィス領域には、「マネーフォワード」(マネーフォワード)などの経理機能、「クラウドサイン」(弁護士ドットコム)などの契約機能、「Paid」(ラクーンフィナンシャル)などの決済機能を提供するSaaS及び企業が存在する。

その他にも、動画編集、アプリ制作、サイバーセキュリティなど様々な領域で次々と新たなSaaSが誕生している。

文=黄 孟志 写真=shutterstock

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