千葉県の障害者福祉施設「北総育成園」では、昨日(4月1日)までに入所者や職員ら合わせて95人の新型コロナウィルス感染が確認された。また、東京都台東区の中核病院「永寿総合病院」では、入院患者とスタッフなど100人規模の陽性が判明。派遣職員らも含めたスタッフは800人ほど、最終的な検査件数は入院患者を含めて1000人規模になる見込みだ。さらに、京都産業大学の学生計40人以上の感染も確認されており、京都府はクラスターが発生した可能性があるとして濃厚接触者の調査を開始している。
次々に各地で出てきた集団感染だが、特に障害者福祉施設では入所者が暮らす個室で職員が食事や入浴などの介助をする接触の機会が多く、まさに “密”を生み出す状態が感染を広げたとみられている。
日本より一足早く、2月中旬に発生した、ある“集団感染”をきっかけに感染者数の爆発的増加を記録しているのが、マレーシアだ。現在東南アジアで感染者数が最も多くなったマレーシアで、その集団感染を引き起こしたのは、イスラム教の礼拝所、モスクである。
イスラム教を国教とするマレーシアでは、祈りのアザーンが街中に鳴り響き、イスラム教徒にとって1日5回の礼拝は欠かせない。そのモスクで、2月27日から3月1日の4日間で行われた大規模礼拝。約1万6000人が参加したと言われているこの集会がクラスターの発生起源となり、マレーシア国内の感染者数の急増を招いた。4月2日現在、感染者2908人、死者45人のうち半数以上が、この大規模礼拝に出席した信者、もしくは濃厚接触者という深刻な状況だ。
モスクでは、信者同士が共に密着して肩を寄せ合うほどの至近距離で祈りを捧げ、見知らぬ者同士も祈りの後に握手を交わす。極めて、“密”な状況がそこでは生まれることから、マレーシア政府は全土に活動制限令を敷く決断を下す前に、先んじてモスクでの礼拝を禁止、全モスクの閉鎖を求めていた。ちなみに、この集団礼拝には海外からの参加者も多く、シンガポールやブルネイなど25カ国からの参加者が既に帰国した。その後次々に各国での感染者が報告されており、タイでは28日、参加した男性信者の死亡も新たに確認された。
気になるのは、この“集団感染”から、どれほど連鎖的に感染が公の場に広まっていくのか、である。マレーシア保健省のノル・ヒシャム・アブドラ保健局長は、“5世代”という表現を使って、さらなる感染拡大の危機を強く警告している。