ここで言及しているのは、ローカス・オブ・コントロール(統制の所在)という概念だ。統制の所在が自分の内側にある人は、自分の成功や失敗は自分で制御でき、成功や失敗は偶然や運命のせいではないと考える。対照的に、統制の所在が自分の外側にある人は、成功や失敗を自分ではどうしようもできないものとして考える。
例として、昇進がかなわなかったときのことを考えてみよう。統制の所在が内側にある人は、昇進に応募する前に自分がきちんと人脈作りに取り組んでいなかったことを認め、今後は会社の役員と会う時間を増やそうと決意するかもしれない。一方、統制の所在が外側にある人は、問題を社内の力関係のせいにしたり、くよくよと考えたり、昇進を諦めたりするかもしれない。
私が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ」は、1万1308人の従業員を対象にアンケート調査を実施し、職場でのインスピレーションや、キャリアに対しての気持ちを聞いた。その結果、統制の所在が内側にあることを含め、特定の考え方を持つことで職場でのエンゲージメントと幸福度が向上し、その効果は素晴らしい上司の下で働くよりも高いことが明らかになった。
残念なことに、同調査結果からは、統制の所在が内側にある人は17%ほどしかいないことが分かった。一方、統制の所在が内側にない人は29%ほどだった。
回答者に対し、現在のキャリアにどれほど満足しているかを0から6までで評価してもらったところ、統制の所在が内側にない人の評価は1.85だったが、統制の所在が内側にある人は4.37だった。つまり、統制の所在が内側にある人は、自分のキャリアへの満足度が2.36倍高かったのだ。
統制の所在を内側に持つためにできること
まずは、自分ではどうにもできないと感じる状況について考えよう。例えば、会社で2カ月後に組織の再編を行い、従業員が全く異なる部署に配置されることが発表されたとする。こうした状況では、自分が統制できるものはあまりない。