今日も忙しい一日だった。何も考えずに赤ちゃんみたいに早く眠りたい。そう切実に思っているのに、何らかの理由で、ついつい寝る前にもう一度スマホの確認をしたくなってしまう。もしかしたら、大統領がテキストメッセージで「世界を守るために手を貸してくれ」と言ってくるかもしれない。もしかしたら、科学者たちが「気候変動を止められるのはきみだけだ」と連絡してきたかもしれない……。
「日中のある行動」が夜の睡眠阻害に効く?
言い訳はなんであれ、いったんスマホをいじり始めたら、数分のつもりが数時間になり、気づいたときには頭痛がして、眠れなくなって、そもそもなぜスマホを手に取ったのか自己嫌悪でいっぱいになる。
でも、そんな苦痛とおさらばできるかもしれない。ある研究者のチームが、ベッドに中でスマホを見てしまったあとでもちゃんと睡眠できる解決策の糸口を見つけたからだ。
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科学者が広範囲な調査を経てたどりついた結論によると、日中に太陽の光を充分に浴びると、それが夜の睡眠阻害問題を解消する力になるという。たとえ寝る前にスマートデバイスをいじったとしても、日光を充分に浴びていれば不眠になりにくいのである。
「14人が569ルクスの光を6.5時間」でわかったこと
スウェーデンのウプサラ大学の神経科学者フリーダ・ロングテルが、こう説明している。
「本研究の主たる発見として、若い健康な学生の場合ですが、日中に明るい光を浴びた場合、夜間に自発光型タブレットを2時間使っても睡眠に影響がありませんでした」
この結論を裏づけた実験は、14人の被験者がおよそ569ルクスの光(曇り空よりもわずかに暗い程度)を6.5時間浴びるというもの。光を浴びたあと、被験者の半数は就寝前にタブレットを使用した。残りの半数は就寝前に紙の本を読んだ。
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1週間後に2グループのタブレットと本を入れ替える。そして被験者それぞれの毎日の眠気、睡眠の質、メラトニン値を記録した。
すると被験者全員において、日中に光を浴びたことにより、夜間のデバイス使用がもたらす寝つきの悪さが解消されていたことが明らかになった。