キャリア・教育

2020.04.03 08:00

「局アナ」の枠を超えて活躍を続ける、弘中綾香の仕事論


少し開き直りに近い気持ちを持った瞬間から、仕事に対する向き合い方が変わったのかもしれません。サブMCになって2年ぐらい経った2015年には、ミュージックステーションとして初めての試みだった10時間生放送の特番「ミュージックステーション ウルトラFES」がありました。これが私のキャリアにおける、ターニングポイントのひとつになっています。

10時間生放送は誰もやったことがない企画だったので、この企画に関わることができたという経験はとても大きかった。放送が終わった後、達成感ではないですが、ようやく「やったぞ」と胸を張れる仕事ができたなと思います。

「かいた汗」は認められる


アナウンサーの仕事として、番組を円滑に進行していくことも重要なのかもしれないですけど、私は番組の出演者でもあり、テレビ朝日の社員の一人でもあります。

ひとつの番組を作るにあたって、制作者と出演者の人たちとの架け橋となれる。どちらの面も持ち合わせているからこそ、うまく番組を作る役割があると思っています。自分が人にどう見られるかなんて気にしていられない。

2016年には「激レアさんを連れてきた」が始まりました。この番組では、私がどうこうよりも、演出や番組の骨子を考えてくれているメンバーが私をうまく調理してくれています。見せ方が良くて、出来上がったものをたくさん見てもらえることで、弘中綾香という存在を少しは知ってもらえるきっかけになったのかなと思います。

「弘中を使って良かった」と思ってもらえるようにとか、自分が出演することでしか残せない「爪痕」を残したいと、常日頃から考えています。この「守りに入っていない姿勢」が、私の武器なのかもしれません。

もちろん、守りに入らないことは勇気のいることです。うまくいかないこともありますが、いろんな番組に出演させていただいたり、並行していろんな仕事を毎日しているので、切り替えはできます。

失敗を恐れないわけではないですけど、なんとなく体重が前に乗っている。「どうせ失敗してもね」と開き直っている部分もありますし、極論を言ってしまえば、「この職業じゃなくてもいいよね」と思うこともあります(笑)。失敗することがあっても、かいた汗を認めてもらっていると思っているので。

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キャリアを積んでいくと、仕事を「それなりにこなす」こともできるようになります。でもそうじゃなくて、一つひとつの仕事にちゃんと対峙し、「私も参加します!」という姿勢を持つことが大事だった、とキャリアを振り返って感じます。

選んでもらったからには、弘中綾香であるということを活かしたいし、証明しなければいけない。「私を選んでよかった」って思ってもらえるようにした結果が、個性になっているのかな、と思います。
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文=東春樹 写真=小田駿一 リタッチ=上住真司 衣装クレジット:ドレス(EPOCA) リング(Pandora) ピアス(Jouete)

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