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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による自粛要請によって、日本の経済活動全体が萎縮し、厳しい状況に立たされている。

店や施設、イベントの事業者は、その多くが営業停止やイベントの中止を行うべきであると考えながらも、経済的不安から、緊急事態宣言が出されないうちは感染拡大の防止に留意しながら営業や開催を続行したいというジレンマを抱えている。

新たな税制支援策で事業者は救われるのか


イベント事業は、クラスター発生のリスクが高いと目されているが、中止によって主催者が被る負担が大きく、かつ保険の支払いの対象とならないケースが大半だ。

現在、経済産業省は複数の支援策と相談窓口を用意している。しかし、イベントプロモーターやライブハウス、劇場などの事業者の不安を払拭するには至っておらず、それによってイベントが開催され続けるという悪循環が生まれているのが、現状だ。最近の動向を見ても、そうした背景によって感染が発生した事例がある。

3月31日、イベントを中止した事業者への救済案として、自民党が新たな税制支援策を調整していることが報道された。与党案として進められているこの対策案は、チケット購入者が払い戻しを求めなかった場合に、チケット代金を寄付金扱いとして税制上の優遇措置を講じ、事業者が手元に資金を残せるというもの。


(編集部による自民党「新税制支援策」略図)

そのほか、法人税や消費税などの納付に猶予期間を設定することや、固定資産税の減額または免除などが検討されているという。

この支援策案が報道された当日は、ライブハウスやクラブ、劇場などの文化施設が速やかに休業できるよう政府へ助成金の交付を求める署名運動「#SaveOurSpace」が記者会見を行った日でもあった。さらに前日の3月30日に小池都知事が会見を開いたタイミングとも重なり、イベント事業の支援、補償に関する議論がインターネット上でも加熱した。
#SaveOurSpaceは会見後の4月2日、30万筆の署名と嘆願書を国会に提出した

先の税制支援策は、主催者側を支援したいと考えるチケット購入者が能動的に払い戻しを放棄する事でイベント事業者の負担を軽減する仕組みで、国の財源を大きく圧迫しない範疇で有効な政策を、ということで編み出されたものだろう。良案であると評価する人々もいる一方で、不服の声を上げている人もいる。

もちろん、無いよりはあったほうがいい施策だ。しかし、ぴあ総研が3月23日に発表した「新型コロナウイルスによるライブ・エンタテインメント業界への影響」によると、現時点までで中止になった公演・試合の総数は8万1000本にのぼり、それによって発生した損失はチケット代だけで1,750億円になるという。これは、年間の市場規模に対して19%の減少率となり、見込みでは5月末までに37%まで上昇する。

画像出典:ぴあ総研

対策案について落胆と不満を吐露する当事者たちの心情は、これだけの支援では到底足りない、というものだろう。

取材、文=三木邦洋 編集=千野あきこ

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