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ゴーモンさんは、天井から金だらいや缶の蓋が落ちてきたり、時には車が飛び込んでくる場面を、息子と腹を抱えて見ていると言った。

「あんな面白いシーンの、どこが悪いっていうの? そんなの言論弾圧じゃないさ。そういうママたちに限って、表現の自由だの、女の権利だの、言うのよ」

だから、PTAの内部からドリフに反対するお母さんたちと闘うために、役員として乗り込んだと、PTAに入ったわけを話し、そこでまた「局長さんはドリフが好きですか?」と聞いてきた。

「間違った英語だって? バッカじゃない」

僕は「妻がよく大笑いして見てます」と言って逃げた。妻がドリフターズを見て、笑い転げているのは本当だった。

ゴーモンさんにコントリビュータを頼んだ1991年ごろには、ドリフも飽きられ、代わって加藤茶と志村けんの「加トちゃんけんちゃん」が人気を博していたようである。

志村けんの、「七つの子」の替え歌「カラス なぜなくの からすの勝手でしょ♪」が童謡をよじ曲げて教えるものだとか、「アイマイミ〜、ユ〜ヤ〜ユ〜、ヒ〜ホ〜ヒ〜」は英語を誤って教えるものだとか、PTAが猛反発していた。

志村けんは「PTAが最も嫌うタレント」になったが、ゴーモンさんはあくまで志村けんの頑固な支持者だった。彼女は見るからに「肝っ玉母さん風」に、きっぷのいい下町ことばでこう怒るのだった。

「『ヒ〜ホ〜ヒ〜』が間違った英語を教えてるなんて、英語も話せないママたちがよくいうよ。バッカじゃない。ああいう教育ママどもが子どもをダメにしてるのよ」

思えば「志村けん」は、PTAに禁止されても、言葉の壁や国境はヒョイと越えていたのである。

文=伊藤延司

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