石油化学関連のリサーチ機関、ICISのMarcus Ferdinandによると、欧州では都市のロックダウンにより、3億8880万トンの温室効果ガスの削減が見込まれるという。
24.4%という削減ボリュームは、フィンランドの独立研究機関であるCentre for Research on Energy and Clean Air(CREA)が以前に、中国での感染拡大で予想した25%の削減量とほぼ一致する。
ICISの欧州部門を統括するFerdinandは調査レポートで、「我々のチームは今回が初めてとなる、都市封鎖によって生じる、欧州での温室効果ガスの減少量の予測データをまとめた」と述べた。
イタリアでは3月9日からロックダウンが実施され、スペインやフランス、ベルギーも3月中旬から同様な措置に踏み切った。英国も3月24日からこの流れに追随しており、その他のEU諸国においても厳しい措置がとられている。
イタリア政府は自動車や鉄鋼の生産をほぼ全面的に停止している。これによりエネルギー需要は大幅に低下した。
「イタリアでのエネルギー需要は2015年以降の同期間との比較で、3月9日からの週は3%下落し、その翌週には10%低下した」とFerdinandは述べた。
フランスや英国でも同程度の下落が見込まれるが、ドイツでの下落幅は5%以下にとどまる見通しという。一方、航空業界では移動制限によって劇的な需要の低下が予想されている。ルフトハンザ航空は4月19日までの期間、運航フライト数を当初の予定のわずか5%にまで減少させるという。
Ferdinandは、欧州の全分野でのエネルギー需要が3月から6月にかけて10%落ち込むと予想している。さらに、4月から6月までの工業生産分野での需要は、50%の下落になると見込んでいる
また、航空分野での需要の落ち込みは第1四半期には7.5%程度にとどまるが、続く2つの四半期の下落幅は80%にも及ぶと予想している。Ferdinandは今回の予想データは、あくまでも初期段階のものであり、今後新たなデータが入手でき次第、アップデートを行うと述べた。