これぞ逆転の発想、映画の「無料上映」を収益化する米映画館

テキサス州だけではなく、ユタ州マウントプレザントでもドライブイン・シアターがオープンした(3月27日)(Photo by George Frey/Getty Images)

米国テキサス州の映画館が巨大な駐車場をドライブイン・シアターに改造し、映画を無料で公開する試みで注目を集めている。

テキサス州シュルツで映画館を運営するEVOエンターテイメントは、3月27日から人気のハリウッド映画を、屋外で無料上映している。初週の週末には「スパイダーマン ホームカミング」が上映され、駐車場は久しぶりに野外でエンターテイメントを満喫する人々の車で満杯になった。

EVOは映画を無料で上映するが、フードやドリンクから収益をあげている。

「新型コロナウイルスの感染拡大が人々に厳しい暮らしを強いるなかで、ポジティブなムードをコミュニティにもたらしたいと考えた。感染を防ぐための十分な措置も講じている」とEVOエンターテイメントCEOのミッシェル・ロバーツは述べた。

観客らは車内からアプリ経由で、飲み物やフードを注文できる。支払いはキャッシュレスで、現金は取り扱わない。劇場のスタッフはゴム手袋を着用し、場内の車にアイテムを届けに向かう。

映画のサウンドは車内のラジオから流される。上映は日没から開始され、外出制限が始まる22時には終了するEVOエンターテイメントはドライブイン・シアターに加え、地元の住民に食料品やアルコールを配達するデリバリーサービスも始動させている。

今後の上映タイトルにはソニー・ピクチャーズの作品が追加されるほか、「トップガン」や「グリース」などのクラシック映画の公開も計画中だ。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、米国のエンターテインメント業界は甚大なダメージに襲われている。しかし、EVOのCEOのロバーツにとって映画は、単なる金儲けの手段ではない。

「私にとって映画はいつも現実から逃れるための手段だった。ストレスを感じ、不安に襲われている人々に、現実を忘れられる場所を提供していきたい」と彼は話した。

編集=上田裕資

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