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2020.04.05 19:00

逆境こそがチャンス、名門VCゼネラル・カタリストの投資意欲

Photon photo / Shutterstock.com

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて株式相場は乱高下し、失業保険の申請件数は過去最大に達し、世界の大都市がロックダウンに踏み切っている。しかし、テクノロジー分野の投資家たちは健全な投資意欲を維持している模様だ。

その一例にあげられるのが、ベンチャーキャピタル「ゼネラル・カタリスト(GC)」が新規で23億ドル(約2500億円)を調達し、新たな投資を行おうとしていることだ。同社のマネージングディレクターのHemant Tanejaは、フォーブスの取材にその詳細を明らかにした。

GCはアーリーステージ企業向けの6億ドルのファンドに加え、年間売上1000万ドル以上の企業向けの10億ドル規模のグロースファンド、さらに年間売上が1億ドル以上の企業向けに7億ドル規模のファンドを組成する。

GCはこれまで、エアビーアンドビーや決済企業のストライプ、人事係の事務を代行するGustoなどを支援してきた。

「新型コロナウイルスの感染拡大は、ヘルスケアや教育、スモールビジネス分野にテクノロジー企業が果たせる役割を再確認させてくれた」とTanejaは話した。「当社は支援先の企業らが今後、目覚ましい成果をあげることを楽観している」

感染拡大の影響は市場のあらゆるカテゴリに及び、人々は外出もままならない。しかし、そのような状況下においても、ベンチャーキャピタルは投資活動や資金調達に向けた動きを継続している。

「イノベーションは、我々が前に進む上で必須の役割を果たす。立ち止まることは許されない。テクノロジーが果たすべき役割は、かつてないレベルに高まっている」とGCのチェアマンで元アメリカン・エキスプレスCEOのケネス・シュノールトは話した。

ジョエル・カトラーとデイビット・フィオーコウらが2000年に設立したGCは、Kayakやスナップ、Datalogix、Datto、Livongoらへの投資で莫大な利益をあげてきた。現在の同社のポートフォリオには、エアビーアンドビーやストライプ、Gusto、ワービー・パーカー、Deliveroo、Lemonadeなどの名前が並んでいる。

逆境の中にこそ見いだせる新たな機会


米国の株式市場が年初から20%以上の下落に襲われたなかで、非上場企業の評価額の先行きにも不透明感が漂っている。

「短期的に考えれば、未上場企業の価値はリセット段階にある。しかし、長期的スタンスでみれば、感染拡大の最中に生まれたアイデアは巨大な価値を秘めている。これらの企業を支援しスケールさせることで、かつてない規模のリターンが見込める」と、シュノールトは話す。

シューノルトは先日、ウォーレン・バフェットの持株会社バークシャー・ハサウェイの取締役のポジションを、ビル・ゲイツから引き継いだばかりだ。彼によると同社は現在、ヘルスケア向けのソフトウェアやEラーニング、リモートワーク向けのソリューションなどのカテゴリを注視しているという。

「今求められているのは、健康的で前向きな社会を維持するために役立つソリューションだ」

そう話すシューノルトは、現在の世界を取り巻く状況が、911テロや2008年の金融危機の当時に類似していると指摘した。「世界に根本的な変化が訪れた時こそ、大きな前進がもたらされる」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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