経済・社会

2020.03.31 20:30

無実の罪で12年服役。西山美香さんが取材で語った「やってみたいこと」

3月中旬、滋賀県内で取材した時の西山美香さん=Christian Tartarello撮影


いまのストレス発散といえば、滋賀県内のショッピングセンターで買い物をすることだ。取材時、桜の花びらのようなピアスやブレスレットをしていた西山さんに「それ、可愛いですね」と言うと「これね。ずっとキラキラしたもん好きなんですよ。デコるとかね」と答えた。そして記者のジェルネイルをした指先を見てとっさに「うちね、職場ではネイルだめなんですよ」と付け加えた。
advertisement


判決後の記者会見で喜びを口にする西山美香さん

無罪が言い渡された3月31日、西山さんは真っ白なレース地のワンピースのようなセットアップ姿だった。彼女の指先に目をやると、華やかなピンク色のネイルが施されていた。桜のネイルアートだ。また、取材時と同じ桜のアクセサリーも身につけていた。

桜のネイル「冤罪の人に花が広がってほしい」


記者会見でその真意を問われると、「桜満開の中で無罪判決をもらって、花びらが散ったら、いまも獄中で冤罪に苦しんでいる人がいると思うので、その人たちにも花が広がってほしい」と早口で語った。
advertisement


報道陣から「桜のネイル、撮影させてください」と言われると、西山さんは困りながらも両手を見せた

取材で、今後の夢や、やってみたいことはありますかと聞いてみた。すると、西山さんは少し間をおいてこう言った。

「普通の人間として暮らしたいかな」

判決後の記者会見でも、同様に語っていた。また法廷で最後に裁判長から贈られた言葉を受けて、西山さんはこのように話した。

「裁判長も、普通の生活を送ってほしいと言ってくれたようで嬉しい。まだ実感はわかないですけど、私より両親の方が大変やったと思いますよ。刑務所に入ればバッシングを直接受けずに、ある意味守られますが、両親は近所や親戚からも信じてもらえなくても、私のことを信じて諦めずに戦ってくれて、やっと喜びの涙を流せたと思います」

西山さんは全国の冤罪とみられる事件の支援者たちから招かれ、各地で講演会などを精力的に行なっているが、今後もその活動を続けていく。

文、写真=督あかり

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事