新型コロナウイルス感染症の流行に関して、とりわけ人々を不安にさせているのは、先行きの不確実さだ。いつ終息するのかは、科学者たちにもわからない。そのため、私たちがいつ普段どおりに戻れるのかもわからない。報道によればNBAのオーナーたちは、「最良」のシナリオであっても、シーズン再開は6月の中旬から下旬になると見ているという。
夏の終わりや秋にスポーツイベントが開催されたとしても、消費者が金を使える、もしくは使おうという気になる保証はない。経済は、さらに後退するかもしれない。アナリティクス・パートナーズ(Analytics Partners)のナンシー・スミスCEOによれば、2020年後半には、企業が従来型の広告よりも販売促進のほうに力を注ぐ可能性があるという。
スミスは電話取材に対して、「問題は、この停滞がどれくらい続くかだ」と語った。「これからの2か月はやや安定し、2020年後半に向かって上昇していくだろう。つまり現状では、スケジュールが2020年後半に圧縮されることになる。大統領選もあるし、ブランドの多くは、2020年末までに数字を達成しようとするだろう。ブランディングよりもパフォーマンス・マーケティングに重点が移る可能性もあり、そうなれば打撃はさらに大きくなる」
コロナウイルスは、我々の社会に永続的な影響を及ぼすかもしれない。セントルイス連邦準備銀行の総裁は、失業率が30%に達する可能性があると予想している。ロイターによれば、この数字は大恐慌時代よりも悪く、2007-09年の景気後退時の3倍にのぼる。
夏季五輪は2021年7月に予定されているが、世界の大部分がまだ危険なウイルスの余波に対処している可能性があることから、おそらくは縮小しての実施になるだろう。
「平均的な消費者が旅行という概念を取り戻すまでには、相当な時間がかかるだろう」とクックは言う。「そのためには、別のイベントの開催が必要になるが、そうした状況も、航空各社にきわめてネガティブな影響を及ぼしている。不確実性の大きい世界では、影響を与える要因や力があまりにも多い。だが、かなり確実なことがひとつある。航空機を使った一般市民の旅行は、回復に長い時間がかかる。旅のためのホテルを予約しようという気にも、なかなかならないだろう」
「2020年に失われた広告収入を、埋めあわせる方法はない。まったくの白紙状態なのだ」