自分の市場価値を知れば、「主体性」は自ずと生まれる──村上臣 x moto

(左)リンクトイン日本代表の村上臣 (右)moto

日本人を取り巻く労働環境は日々変化し続けている。特に顕著なのが、会社と個人(社員)との関係性だろう。社員を「従業員」と呼称するように、かつてはトップダウン型で言語化されてはいないものの主従関係、上下関係のようなものが存在した。ところが近年はボトムアップ型にシフト。社と個人の関係性もフラットになってきているといえるだろう。

そういう状況下で自らキャリアを描いていくうえでカギとなるのが個人の「主体性」だ。一体、「主体性」とは何なのか。どうすれば高められるのか。

Forbes JAPAN編集部では、“キャリアのご意見番”として注目を集めているmoto氏と共に「キャリアに正解のない」令和時代を生きるビジネスパーソンに向けた連載企画を実施している。連載2回目の対談相手は、リンクトイン日本代表の村上臣。

両氏が語った、キャリアにおける主体性とは──。

日本人は将来に悲観的で自信が持てていない?


村上臣(以下、村上):リンクトインは世界22ヵ国を対象とした「仕事で実現したい機会に対する意識調査(Opportunity Index 2020)」を2020年2月に発表しました。この調査では、日本だけ将来に悲観的で自信を持てていないという結果が出ています。

かつての日本は悲観的で自信がない人が多い国ではなかったと思います。高度経済成長期ではマクロ経済がどんどん伸びているから、必ず昇給しました。「新卒一括採用で定年まで働くことをコミットしたら全部面倒を見る」という終身雇用制度が生まれたのもこの時期です。地方や海外に転勤を命じられて、帰ってきたら昇進している……。そんななこともありました。

ただ、時代とともに会社が「終身雇用はもう無理!」と言い始めて、制度だけが残っているアンフェアな状況が“今”なんです。日本の経済は昔ほどの伸びは期待できないけれど、GDP(国内総生産)は引き続きそれなりにあり、内需が中途半端に豊かで外を見ないため、海外との差は開くばかり。特に若者は感づいているけど、何をどうしたらいいのかわからない。だから悲観的だし、自信が持てないわけです。

moto:日本人が悲観的である、というのはとても共感できますね。いまだエスカレーター式な会社も多くありますが、終身雇用は崩壊しているし、日本経済の先行きも不透明。年金2000万円問題など不安になる要素も山積みです。かといって、個人が自分の働き方を変えていくための解は出ていない。個人的には今後ますます「転職」という選択肢が当たり前になっていくと思います。

村上:手前味噌になってしまいますが、こういう状況に風穴を開けるのがリンクトインのようなサービスだと思っています。リンクトインを使うことで自分自身の市場価値を知るきっかけにもなるし、会社、さらには日本の外と緩くつながることでキャリアを考えることもできる。さらにはロールモデルを見つけることもできると思うので、ぼくはリンクトインが今後のキャリアを考える上でのヒントになればいいと思っています。
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文=田中嘉人 写真=小田駿一

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