ビジネス

2020.04.01

日本スタートアップ界のコロナウイルスとの戦い

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スタートアップの創業者だけでなく、スタートアップエコシステム全体に対して私から伝えたいことが2つあります。1つ目は、私たちは最悪のケースを想定して計画しつつ、最善の結果を願うべきだということです。日本は日常を保っていて、海外で起きていることは何も影響しないと考えるのは甘いでしょう。影響が現れるまでの猶予があるうちに、創業者たちはいずれ現実化するキャッシュフローへの打撃に備えておくべきです。

その打撃は顧客と投資家の両方からやってくるでしょう。顧客は今までよりも獲得することがより難しくなったり、価格に厳しくなったり、あるいは彼らのビジネスへの経済的打撃の影響をより把握しはじめると、解約も増えるかもしれません。資金調達も似たような理由で難しくなるかもしれません。

すでに組成しているファンドは今後2年間は資金提供できるかもしれない一方で、企業の動きが鈍るのはもっと急かもしれません。企業からの資金提供が多い日本のようなエコシステムでは、影響が現れるまでの猶予は、多くの創業者が推測しているよりも短い可能性があります。

こうした外的要因は創業者にはコントロールできませんが、バーンレートをコントロールすることはできます。これに関してセコイア・キャピタルが、調整の仕方についてどう考えたらいいのか創業者をガイドするフレームワークを投稿しました。うまく整理されているのですが、私はここに「バーン(burn)とは毎月どのくらいキャッシュが会社から出ていくのかを意味します」とだけ付け加えたいと思います。

つまり、キャッシュの出入りの両方を含めた正味の額ということです。いま私たちが経験しているようなブラック・スワンにおいては、顧客が危機に際して解約するというシミュレーションもしてみるのも良いかもしれません。

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私が伝えたいことの2つ目は、日本のスタートアップ・エコシステムがこの5年間で生み出してきたすばらしい進歩の価値がこの状況によって損なわれることはないということです。創業者たちや、そのビジョンの実現を支える人材のレベルは、私が起業家だった頃からすると飛躍的に向上しています。

日本をより良い国へと変えていくための本質的な解決策に取り組む、仕事熱心で志の高い人たちは、私にとって今も変わらずインスピレーションの源泉です。せっかく生まれたスタートアップのモメンタムが、ブラック・スワンにくじかれたりしないように、ともに苦境を乗り越え、さらに力強く成長していきましょう!

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