ビジネス

2020.03.31

米メイシーズ傘下の百貨店、従業員約13万人の大半が一時帰休へ

Photo by Al Bello / Getty Images

米国内で複数の百貨店チェーンを運営するメイシーズ Inc. は、3月31日から傘下の大手百貨店などで働く従業員の大半を一時帰休させる方針を明らかにした。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、各チェーンの事業が多大な影響を受けていることが理由。

百貨店大手メイシーズとブルーミングデールズ、化粧品店チェーンのブルーマーキュリーを運営するメイシーズ Inc.の子会社のR.H.メイシーは、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための措置として、3月18日に全775店舗を閉鎖。ウェブサイトを通じた販売は継続しているものの、店舗の営業を中止したことで、売上高はわずか2週間でそのほとんどが“消失”している。

その他の多くの小売業者と同様に、同社の店舗も当初は2週間の閉鎖を予定していた。だが、その後、「営業が安全とみなされるまで」再開を見送ることを決断。メイシーズ Inc.は30日に発表した声明で、「わが社の事業は引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行で多大な損害を被っている」と説明していた。

こうした状況を受け、メイシーズ Inc.は現在、コストの削減を急いでいる。基本的な業務を維持するために必要な最小限の人数だけを残し、その他の従業員を一時帰休させる。およそ12万5000人の従業員のうち、その大半が対象だ。事業を再開することができれば、段階的に復職させる考えだという。

オンラインでの注文には引き続き対応するため、物流センターやコールセンターなど、eコマース部門での一時帰休は小規模になるという。また、一時帰休される従業員には、引き続き福利厚生や医療保険などが提供されるものの、給料の支払いは停止される。医療保険の保険料については、メイシーズが全額負担することになる。

格付けも引き下げ


メイシーズ Inc.は四半期配当をすでに一時停止しているほか、15億ドル(約1620億円)としていた融資限度額を引き下げている。在庫注文の一部をキャンセルしたり、採用活動を凍結したりするなどの措置も取っている。ただ、同社によれば、「これらの措置は有効ではあったものの、まだ不十分だ」という。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとS&Pグローバル・レーティングは先ごろ、店舗の大量閉鎖や消費者が衣料品や自由裁量で購入する商品向けの支出を減らしていることなど、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を理由として、同社社債の格付けを引き下げた。S&Pは先行きの不確実性と経済的な逆風を受けて、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更している。

編集=木内涼子

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