ほかの多くの大学では、新入生をめぐってもっと深刻な問題を抱えている。ニューヨーク市の芸術大学スクール・オブ・ビジュアル・アーツ(School of Visual Arts)は、学生の50%近くが海外からの留学生だ。マサチューセッツ州ボストンのニューイングランド音楽院(New England Conservatory of Music)と、ペンシルベニア州ピッツバーグのカーネギー・メロン大学は、外国人学生の割合が40%を超えている。コロンビア大学の学生のうち、海外からの留学生が占める割合は36%、マサチューセッツ工科大学(MIT)の場合はおよそ30%に達する。
シラキュース大学やボストン大学、ジョージア工科大学など、潤沢な寄付金が集まる名門大学なら、現在の難局を乗り切ることができるだろう。しかし、知名度が低くて資金繰りもあまり順調でないドレクセル大学(ペンシルベニア州)やエマーソン大学(マサチューセッツ州)、フォーダム大学(ニューヨーク州)などの場合は、問題はより深刻だ。
小規模のリベラルアーツ大学を中心に650大学が加入する米独立大学協議会(Council for Independent Colleges)のリチャード・エクマン(Richard Ekman)会長は、事実上すべての大学が、春学期の授業をオンラインで実施することになった点に言及しながら、「当然のことではあるが、多くの親から、大学の寮費と食費を返金してもらえないかと問い合わせが来ている。そして、大半の大学がそれに応じている」と述べた。
「多額の資金を持たない大学への打撃は相当なものになる。小規模大学の場合は、返金だけで300万ドルから400万ドルほどに上る可能性がある」。エクマン会長は、各大学でまもなく、職員の一時解雇と自宅待機の措置が取られるだろうと述べた。
来年度の財務状況はさらに厳しい。まずは、授業料を満額払ってくれることが多い外国人留学生からの収入が減る可能性がある。その上、株式市場の暴落による副次的な影響が押し寄せ、寄付や資金を集めるのが難しくなっていくだろう。