新型コロナウイルスの流行により、ペンシルベニア州のバックネル大学をはじめとする多くの大学が、入学が見込まれる高校生を盛大に歓迎するためのイベント「合格者向けオープンキャンパス(admitted students day)」はもちろん、通常のキャンパスツアーさえも実施できない事態となっている。そのため大学側は、合格通知の発送数を増やして十分な学生を確保し、2020年9月に始まる新年度の定員を満たそうとするだろう。
バックネル大学では、経済が割合に好調だった2019年でも、欠員を補充するためのウェイティングリストから学生100人に入学許可を出さざるを得なかった。新入生が払い込むデポジット(入学の意思表示をするための保証金)が、5月1日の締め切りまでに十分に集まらなかったためだ。
こうした状況は、バックネル大学だけに限ったことではない。米国大学入学カウンセリング協会(NACAC)によれば、2019年には500以上の大学が、締め切りまで十分なデポジットが集まらなかったと報告している。
アイビーリーグ加盟校など超一流名門校の場合は、合格率とイールド率(合格者が実際に入学する割合)にさほど大きな変化は見られないかもしれない。その理由のひとつは、超一流大学のウェイティングリストには大勢の合格者が並んでいるからだ。
しかし、多くの有名大学が海外からの留学生を多数受け入れており、その見込みにいま、疑問符がついている。2020年3月20日現在、アメリカ国務省は、学生ビザを含むすべてのビザの通常発給業務を一時停止しているのだ。
ノースカロライナ州にあるデューク大学で学部入学審査部長を務めるクリストフ・グッテンタグ(Christoph Guttentag)は、「困ったことに、状況は刻一刻と変化しており、いまから2カ月半後にどうなっているのかを予測するのは不可能だ」と話す。同大学の2019年における合格率は8%で、入学者数は1744人。うち海外からの留学生は約10%だった。
米教育省の直近データによると、デューク大学の学生全体に占める外国人留学生の割合は22%に上る。しかし2020年秋、170人ほどが見込まれる海外からの新入生が同州のダーラムキャンパスにたどり着けない場合でも、ウェイティングリストに載る学生を合格させれば問題はないだろう。