2点目が「個」のマネタイズ方法の多様化です。
ユーチューブ上で投稿者が広告収益を得られるようになる「パートナープログラム」が開始されたのが2012年4月のことです。結果、ユーチューブに動画投稿を行うユーザーは増え、その1年後にはYouTuber事務所であるUUUMが誕生します。
実は前述したRED、21Buttonsも投稿者が金銭的なインセンティブを受け取る仕組みが用意されています。
PARTEで一部ユーザーに公開している報酬還元の確認画面 via コーデで貢献したユーザーには還元も、ソーシャルコマース「PARTE」にGBやジェネシアVなどが1.7億円出資
これらの例からも分かる通り、金銭的なインセンティブは投稿ユーザーをよりアクティブにし、プラットフォームの盛り上がりを加速させることが伺えます。さらに現在はユーチューブの広告収入、ライブアプリなどの投げ銭機能など、「個」に直接的に金銭的インセンティブが入る仕組みが一般に受け入れられてきていると感じます。
SNSのあり方が「コミュニケーション主体」であった数年前からすれば、これまでの日本のソーシャルコマースサービスに金銭的なインセンティブが導入されなかったことは至極当然です。
逆説的に言えば「個」が対価を得て情報を発信し、消費活動が生まれることが証明された現在、インセンティブの存在はこれからのソーシャルには必要不可欠なものと考えられるのです。
さらなる拡大に必要な鍵
もちろん課題もあります。
特に「個」が自由に情報を発信し、そこから消費活動が生まれる場所において、大切になってくることが「正しさ」だと考えています。発信された情報に虚偽、偽りがない。ステマではない。安心して情報を取得し、買い物ができるプラットフォームでなければユーザーに選ばれません。
また、金銭的インセンティブを導入する場合、適切な設計、不正検知も「正しさ」を保つ上で非常に重要です。故に、システム的な監視とその機能を含めた適切なコミュニティ設計が必要不可欠です。ちなみにPARTEでも誰が、誰の、どのコーデから、どのアイテムを購入したかのデータを蓄積しています。このデータをスコア化し、投稿の健全性、インセンティブの正当性を担保しています。
ということで、ざっとですが現在の日本(特にアパレル関連)におけるソーシャルコマースの現状をデータと私たちの体験から整理してみました。世界でソーシャルコマースの波が押し寄せる中、私たちも日本発の世界中で愛されるソーシャルコマースプラットフォームを作っていきたいと思います。
本稿はショッピングSNS「PARTE」を開発・運営するREGALI代表取締役、 稲田光一郎氏によるもの。Twitterアカウントは@kou1na。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい。